機体やトレンドから見る2018年ドローンニュースまとめ

2018年も早くも年末を迎えました。今年もドローン業界は多くのニュースが飛び交い、活況を呈しました。また、ドローンの産業利用がさらに進んだ年でもあり、多くの分野でドローンの可能性が大きく広がった1年であったとも思います。

そこで今回は2018年にあったドローンのニュースをまとめて振り返っていきたいと思います。

①2018年もDJIはリリースラッシュ!

ドローン界の雄であるDJI。このトップカンパニーは2018年も多くのプロダクトを世の中にリリースしてきました。まず、1月に小型ドローン「Mavic Air」を発表。コンパクトに折りたたむことができる小型の機体に、4K動画が撮影可能な高性能カメラを搭載したこの機体は、スタイリッシュなデザインと相まって高い支持を得ました。また、同じく折りたたみ式の小型ドローンとして、8月に「Mavic 2 Air/Zoom」を発表。「PHANTOM 4 Pro」以上の性能と折りたたむことでどこへでも持っていける優れた携帯性は、DJIの次のスタンダードドローンとして認知され、大きな話題となりました。

一方、産業用ドローンの機体を多く発表したのも2018年のDJIの特徴でした。10月に測量に特化した「PHANTOM 4 RTK」をリリース。センチメートル単位での測量が可能なこの機体は、i-Constructionが推進されている日本においても測量調査の効率性と正確性の向上が期待されます。また、11月には「Mavic 2 Enterprise」を発表。高性能なプラットフォームである「Mavic 2」に、その用途に応じてさまざまなアクセサリーを付けていく新しい発想で、2018年後半の注目のニュースとなった。

また、ドローン以外にも撮影ソリューションとして7月に「RONIN S」、11月には「Osmo Pocket」を発表。簡単にブレのない動画を撮影できるこれらは、マーケットに新しい可能性を示してくれました。

2019年、この勢いはまだまだ続くことが予想されます。DJIの次の製品が今から楽しみでなりません。

②ドローンを使った荷物輸送が次のステージへ

ビジネス用途でのドローンの活用が一気に進んだ感のある2018年。特にドローンを使った荷物輸送に関しては機体開発や法的整備などさまざまなニュースが飛び交うことになりました。

その中でも注目は9月に国土交通省から公表された、山間部等でのドローン荷物配送で自主ガイドラインです。このガイドラインでは、航空法で許可のいらない空域での目視外飛行による荷物配送を対象とし、安全な荷物配送を行うために取り組みべき事項や、社会的信頼性を高めるために取り組むことが推奨される事項が挙げられました。このように国から明確なガイドラインが出ることで、ビジネスの方向性が指し示されると、開発のスピードやマーケット拡大が進むことが予想されます。

また、個別の案件としても、伊那市でドローン物流プロジェクトが開始されたり、日本郵政でドローンを使った荷物輸送に承認が降りたり、楽天が南相馬市にてコンビニの製品をドローンを使って消費者の手元に届けたりするなど、各地で実証実験がおこなわれています。物流のラストワンマイルを担うドローン。その方向性が大きく示された2018年だったのではないでしょうか。

③日本でのドローン展示会が活況を呈すも

2018年も3月に「Japan Drone」、4月に「国際ドローン展」、さらに大小さまざまなドローン関連の展示会が開催されました。昨今のドローン業界の勢いそのままに、多くの関係者が来場し、前年よりもさらに熱気を帯びたものとなりました。

一方で、公式発表によると来場者は確かに増えたものの、会場内に外国人の来場者の姿が少なかったのは残念でなりません。ドローンは国内だけでなく、海外においても活躍できるソリューションであり、そのマーケットは海外こそ狙うべきところであります。しかし、日本人の来場者は多くいても、海外からの注目度は決して高いものではないことが、外国人来場者の少なさから見てとれます。日本のドローン企業のグローバルにおける知名度、注目度はまだまだ高くなく、国策としてさらに力強くドローン産業の発展を推進していく必要があるのではないでしょうか。

④ACSLドローン専業メーカーとして初の上場へ

2018年12月21日、ドローンベンチャーである自立制御システム研究所(ACSL)が東証マザーズに上場を果たしました。国内外において、ドローン専業のメーカーによる上場は初とされており、その動きに大きな注目が集まっています。

ACSLは日本における自立制御の第一人者であり、元千葉大学教授の野波健蔵氏によって設立された大学発ベンチャーであり、内製によるフライトコントローラーや機体の開発と製造をおこなっています。これまで、東大系のベンチャーファンドや楽天、創業者である野波氏が株式を保有していましたが、上場することにより、より柔軟な資金調達や知名度、信頼性のアップを目指しているとのこと。上場前の2018年3月期で売上が3.7億円、営業損失が5.4億円となっており、一度も黒字にはなっておらず今後もしばらくは赤字のまま、先行投資期間として機体やサービスの開発をおこなっていくようです。

同社のドローンは荷物配送やインフラ点検、測量といった部分での活躍が機体されており、株式上場により調達した資金でさらに開発スピードを早め、国内だけでなく海外のメーカーとも渡り合える資金力を確保し、存在感を示したいところでしょう。

⑤ドローンスクールの人気が衰えず

2018年はドローンスクールの新設や各種セミナー開催のニュースが多く飛び交った1年でもありました。ドローンスクールは現在日本各地に150校近くあるとされ、ただ飛ばすスキルを教えるだけでなく、自分が必要なスキルを身につけるために、用途に応じてさまざまなコースが設立されるようになってきました。一方、短時間の飛行訓練だけでスクールを卒業してしまい、その後ビジネスにつなげられない、スキル不足を解消できない、といった問題も散見されており、スクール卒業後のスキルアップには課題が残っているといえます。

また、ドローンの活用が期待される領域が増えたことで、セミナーも日本各地でおこなわれるようになりました。現在、空撮だけでなくインフラ点検、災害対策、農業、測量、荷物配送など、ドローンが活躍できるシーンは確実に増えており、それに応じてビジネスチャンスも多く出現しています。それらをつなげる意味で、2019年はさらに多くのドローンビジネスセミナーが開催されるのではないでしょうか。

⑥最後に

2018年はビジネスシーンにおけるドローンの活躍が非常に目立った1年でした。特にドローンそのものではなく、ドローンを活用したサービスの開発が一気に進んだ印象があります。このトレンドは2019年も続くことでしょう。一方、機体は、コンシューマー向けと一部の産業用途(空撮等)では、まだDJIの独り勝ちといえます。しかし、産業用の機体では、日本メーカーや海外の他のメーカーによる独自の技術やアイデアを盛り込んだ機体が続々と登場してきており、非常に面白い展開となっています。2019年、ドローンはさらにさまざまな領域へ進出し、活躍を見せてくれることでしょう。

 

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