空撮用ドローンだけではない!いま熱いのはDJI産業用プロダクト!

昨今、民生用だけでなく産業用のラインナップの拡充を図っているDJI。ドローンを活用した各方面のビジネスに対応すべく、ベースとなるプラットフォーム(機体)やカメラ、周辺機器、アプリケーションの開発に取り組んでいます。そこで今回は、そんなDJIの産業用プロダクトの中から、特に注目の高い3点をご紹介していきたいと思います。

①農薬散布に新しい風を!「AGRAS MG-1」

DJIから発売されている機体の中でも、最大級のサイズを誇るのがこの「AGRAS MG-1」です。農薬散布用の機体として開発されたこの機体は、農薬や肥料、除草剤などを高効率と高精度で散布できるものとなっており、これまでのような大型RCヘリを使った散布や人間の手による散布と比較して、作業の効率性や品質の向上に貢献できる仕様が特徴です。

機体の下部に搭載されたタンクには、10kgの液体を搭載することができ、アームの先に取り付けられた4本の噴射ノズルから、前方噴霧、後方噴霧、全面噴霧の3つのモードで噴霧ができます。これらの噴霧速度は、タンク内の圧力センサーと流量センサーによってモニタリングされており、噴霧速度や量はシステムによって最適な状態に制御されるのです。これにより、非常に正確に必要な分だけ散布することができます。

また、この「AGRAS MG-1」の最大の特徴は、機体のタンクに取り付けられた3つのマイクロ波レーダーによって、圃場の地形を認識しながら常に地上から同じ高さの飛行をすることができる点でしょう。これにより農作物から一定の距離を保つことができ、品質の均一化を図ることができます。

もちろん、機体にはDJIが誇る「A3」フライトコントローラーが搭載されていることで、抜群に安定したフライトが可能です。特に農薬散布中は、振動で内部の液体が揺れることがありますが、それでも農業用に最適化したアルゴリズムによって、機体は常に安定したままです。また、気圧計やコンパスも2つずつ搭載することで、万が一の場合でも安定した飛びを続行できるようになっており、システムの冗長性から来る信頼感は計り知れません。

今後、日本の農業は大区画化が進んでいくと言われており、ドローンだけでなくICT技術を取り入れた近代的な精密農業の時代に突入していきます。そういった中で、「AGRAS MG-1」が担う役割は大きいのではないでしょうか。

②新感覚の最新赤外線カメラ「XT2」

ドローンの良さに、用途に応じて取り付けるカメラを取り替えて運用することができる点があります。現在は、高画質なカメラから超望遠カメラ、夜間でも撮影することができるカメラなど、多くのカメラが開発されており、ドローンに取り付けることでその性能を発揮しています。そんな中のひとつが、この「XT2」です。「XT2」は、DJIが開発した最新赤外線カメラで、ドローンに取り付けることで上空からさまざまな場所の温度を計測することができます。

このカメラを正面から見ると分かる通り、2つのレンズが取り付けられています。ひとつが、高度放射測定サーマルセンサーで、もうひとつが4Kビジュアルセンサーとなります。この2つのセンサーから得た情報をすぐに解析データに変換することで、対象物の温度の変化を察知することができ、例えば事前にセットしておいた温度よりさらに上昇した場合、すぐにアラームで知らせてくれる「高温アラーム」といった機能を使うことできます。

また、このカメラには「高温アラーム」以外にも、「ヒートトラック」や「FLIR MSX」という機能も用意されています。「ヒートトラック」は、機体が見ている画面の中で一番高温となっている対象物を自動でトレースすることができる機能です。これによって、知っておかなければならない重大情報を常にキャッチしておくことができ、高温を放つ対象物の状況をチェックしておくことが可能です。また、「FLIR MSX」は、サーマルデータ層に視覚データを組み合わせることができる機能です。温度計測の画面と実際の画面を重ね合わせることで、状況をすぐに把握することができます。

では、実際にこの「XT2」はどのような活用方法があるのでしょうか。まず挙げられるのは消火活動でしょう。上空からの映像に熱画像を組み合わせることで、最も火の手が強いホットスポットを把握し、効率の良い消火活動をおこなうことができます。また、「高温アラーム」機能を使うことでソーラーパネルの点検でも活躍することができるでしょう。ソーラーパネルの正常な温度範囲を超えているパネルを、「高温アラーム」機能で検出すれば、どのパネルに不具合が起きているかすぐに把握することができます。その他にも農業や送電線の点検、救助活動など、広い分野でその性能を活かすことができる「XT2」は、今後のドローン用赤外線カメラの草分け的存在になっていくのではないでしょうか。

③ドローンの自動航行はこのアプリにお任せ!「GS Pro」

DJIは何も機体やカメラだけを開発しているわけではありません。機体を快適に、そして理想の通りに飛ばすことを念頭に、さまざまなソフトウェアやアプリケーションを開発し、ユーザーに配布しています。ここで紹介する、自動航行の制御をおこなうiPad用アプリケーション「GS Pro」もそのひとつです。

この「GS Pro」は、機体の自動航行の計画を事前にインプットさせることができ、複雑な経路の自動航行も簡単に設定することができるアプリです。また、飛行経路だけでなくウェイポイントを設定することで、その場でドローンに自動で撮影をおこなわせることもできます。

また、「GS Pro」には、設定できるフライトモードも2つ用意されています。「区域内モード」では、選択された区域内で自動的に作成された経路に沿って飛行しますが、一方で「スキャンモード」では指定された区域をカバーするための最速経路を算出して飛行ルートを設定します。精度と効率の両面でフライトモードを使い分けることができます。

さらに設定時にはオーバーラップ率や高度、撮影アングルなどさまざまなパラメータの設定が可能です。これにより、一回の飛行で必要な情報をすべて取得することができ、作業の効率化に貢献してくれることでしょう。

「GS Pro」のもうひとつのメリットが安全性です。このアプリのバーチャルフェンス機能を使うことで、ドローンが飛行して良い特定の飛行区域を設定することができます。設定されるとドローンがバーチャルフェンスに近づくとブレーキがかかり、飛行区域内に留まるようになります。これにより、一定のエリア内で飛行することができるので、農薬散布や初心者のトレーニングにも最適です。

産業用アプリケーションとして、「GS Pro」には多くの活用方法があります。例に挙げると、建設現場や精密農業、安全管理、探索と救助といったシーンが想定されます。高い精度と信頼性によって、今後多くの場面で「GS Pro」が活躍していくことでしょう。

④まとめ

今回はDJIの産業用プロダクトやアプリケーションを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?DJIは今後も産業用ソリューションの拡充を目指していくものと思われますが、これだけ高機能なものを、リーズナブルな価格で提供していまうのがDJIの凄いところ。しばらくはこの企業からまだまだ目が離せない日々が続きそうです。

DJIの産業用プロダクトの詳細を確認するなら「ドローンステーション」!