空もの電動ラジコンの素朴な疑問10選

現在のラジコン飛行機の主流は間違いなく電動機となっています。ブラシレスモーターとリポバッテリーの組み合わせは、一昔前では飛ばすことができなかった大型機でも軽々と持ち上げてしまうことができるようになり、一方で小型機向けのデバイスは非常に安価で高性能なものが多く出回っています。

しかし、これらの電動デバイスを扱う際に知っておきたいのが基礎的な知識です。わかっているようで、実は細部まではよく分からない、という方も多いでのないでしょうか?そこで今回は電動ラジコンの素朴な疑問10選と題して、しっかりと覚えたい電動デバイスの基礎知識を紹介していきたいと思います。

Q1:電動機に受信機用電源はいらない?

A1:主に小型電動機には受信機用の電源を搭載することは少ないです。電動機にはESCが搭載されており、そのESCにはBEC(ベック)電源という回路が設けられているものが多く、この回路が動力用バッテリーから電圧を下げて、5V程度の電力を受信機に供給するシステムになっています。ですので、BEC機能付きのESCを搭載した場合、別電源の受信機用バッテリは不要です。

そして飛行中、動力用バッテリーが弱ってくるとモーターは停止しますが、受信機に優先的に電力が供給されるようになっていますので、ノーコンの心配はありません。これはオートカットと呼ばれる機能です。しかし、昨今は電動機でもパワーがあったり、スケール機を飛ばすことが多くなってきましたが、大型機や多数のサーボを使用する場合は、サーボに供給される電流が不足しがちになってしまいますので、エンジン機のように別電源を使用する場合もあります。また、大型機のように多セルを使用する場合も、信頼性という意味で別電源を使用したりすることがあります。電圧ドロップと共に供給される電流が少なくなり、サーボが動かなくなる可能性があるためです。

Q2:バッテリーの充電や放電時の「~C」というのは?

A2:充電のレートや放電能力の表現で、放電が「~C」、充電が「~C」というのをよく聞くことでしょう。このCは単純にバッテリー容量の何倍というふうに思っておいて構いません。10C放電では容量の10倍の電流を流せるということになります。リポの放電でも15C放電の1000mAhバッテリーがあるとすれば、最大の放電電流は15Aということになります。バッテリーの性能はこの「~C」というのが目安となります。

Q3:ESCの使用電圧、電流許容範囲について知りたい

A3:ESCはさまざまな大きさのものがあります。だいたい電流値でその性能を表しているものが多いです。大容量のESCは大きく、小さなESCは小電流しか流せません。使用するモーターが消費する電流でESCの大きさを決定するのが一般的です。ESC本体には使用できる電圧、電流がどこかに記載されています。あるいは何セルから何セルまでと表示されている場合もあります。

また、使用できるサーボはいくつまでと表示されているものもあります。多少のマージンは設けられていますが、連続使用が前提なので無理は禁物です。規定値以上の使用ではESCが焼損する可能性が高くなります。ESCは意外なほど発熱しており、モーターの発熱ほどひどくはないが、過負荷がかかると焼損するほど発熱する場合があります。ひどいときは飛行機が焦げたり燃えたりする可能性もありますので、必ず機体推奨のモーター、ESC、バッテリーで飛ばすことが大切です。

Q4:ESCのブレーキ機能とは!?

A4:グライダーなど滑空する機体は、機首のプロペラの回転を止めないと空転するブレードがブレーキになって抵抗が増してしまいます。そこでスロットルを下げると一瞬モーターをショートさせてプロペラを強制的に停止、グライダーによく搭載されている折ペラを空気抵抗で折りたたませ、グライド性能を助けることがあります。この機能がブレーキです。

ESCにはこの機能がついていることが多く、普通の飛行機ではあまり使いませんが、グライダーにはなくてはならない機能です。ESCの設定でオン、オフできるものと、プロポ側の設定でできるもの、さらにはジャンパーピンなどで設定を変化させるものなど、ESCによってさまざまなタイプがあります。

Q5:ブラシレスモーターの原理は!?

A5:ブラシレスモーターとはいったいどういう原理で回転しているのか、意外と知らない人も多いはずです。一昔前の主流だったブラシモーターの場合は、ブラシとコミュテーターを用いてコイルに流れる電流の方向を切り替えて回転させていました。それに対しブラシレスモーターは、ブラシがない代わりにセンサーと電気回路を用いて電流の方向をものすごい速さで切り替えています。そのためブラシモーターのように電池をつなげば回転するわけではなく、電流制御用の専用ESCが必要になります。

基本的にはブラシモーターと同じ磁石の反発で回転しますが、機械的にプラスマイナスを切り替えていてはその部分のロスが大きいので、電気的に変流させてロスをなくしている分ハイパワーになります。

Q6:モーターのKV値について教えてください

A6:KV値とは、モーターに1Vかけた状態の無負荷でどれだけの回転数であるかを指す数値です。例えば、KV値2000のモーターに10Vかけると無負荷では2万回転回りますよということです。しかし、モーターを無負荷で使うことはありえません。モーターには最適な効率が表記されているので、この回転から何パーセントが現実の数字ということになります。

この数値はモーターによって異なってきます。なぜなら、モーターがトルク型なのか回転型なのかによってロスする回転数が違うためです。したがって、このKV値はモーターの性格を計る上でひとつの指針とするにとどめておいたほうが良いでしょう。かといってある程度信用しなければならない基準でもあります。つまり回転型のモーターなのか、トルク型なのかを判断するひとつの目安になるわけです。

Q7:電動飛行機にエンジン機用のプロペラを使用できますか?

A7:現在では各社から電動飛行機専用のプロペラが発売されています。電動専用プロペラはエンジン機用のものと比べてブレードが幅広になっており、かなり軽量にできています。これによって低回転でも効率よく推進力を発生できるような構造になっています。

一般的には、モーターの出力特性に合わせてプロペラブレードの重量や形状が計算されているため、電動用に設計されたプロペラを使用するほうがさまざまな面で良い相性が出ます。特別に理由がない限りは、電動機を飛ばす際は、推奨サイズの電動用プロペラを使うことをオススメします。

Q8:エンジン機とのフィーリングの違いについて

A8:電動機は電気的に回転数が変化するので、プロポのスティックに対するレスポンスのタイムラグはありません。エンジン機では機械的にスロットルを開け閉めするために、一瞬のタイムラグを感じます。電動飛行に慣れている人がエンジン機を操縦させてもらった時、レスポンスの違いに戸惑うこともあるはずです。体感的にはギヤダウンした機体は中低速での引きが頼もしく、トルクを感じます。ダイレクトドライブのものはエンジン機と似たような引きで飛行しているといえるでしょう。

ただ、電動はエンストの危険性がないので心理的にはかなり楽になるはずです。騒音がない分、パワーがないような錯覚やスピード感がないような感じがしますが、それは一昔前の話。今ではエンジンよりも電動の方がパワーがあることが多く、フィーリングの違いもフライヤーの好みになってきます。

Q9:リポバッテリーの保管方法について

A9:取り扱いに注意しなくてはいけないリポバッテリーですが、保管についてもしっかりと考えていく必要があります。最近の充電器では「ストレージモード」が付いていることが多くあります。これはリポバッテリーの保管に最適な60%ほどの充電容量まで充放電してくれるもので、飛行場から帰ってきて保管しておく場合は必ずこの「ストレージモード」で充放電しておくようにしましょう。

また、次回の飛行時に面倒だからと、常に満充電で保管している人もいますが、これは危険ですので、充電は飛ばす日の前夜や朝におこなうようにしましょう。保管は耐火性の入れ物に入れて、コネクター同士がショートしないようにキャップを必ずかけておくことが大切です。

Q10:バッテリーは温めたほうが良いのでしょうか?

A10:バッテリーは内部の電解質の活性化によって電気が発生する仕組みになっているので、そのための適切な温度があります。外気温が20度から30度くらいがもっとも適切と言われています。それより低い温度だと内部が不活性になり発電能力が落ちます。容量は充分あるのに短時間しかフライトできない、いまいちパワーが出ないという場合がそうです。寒い時期にはバッテリーの保温を心がけなくては本来の性能を引き出せなくなります。

逆に充電はある程度温度の低いほうがいい結果が得られます。飛行中は電気の発生により若干温度は上がりますが、冬季、保温していないバッテリーを使用すれば、安全な高度に行きつくまでに電圧降下でオートカット、なんてこともあります。寒い時期に電動機を飛ばす際は、とにかくリポバッテリーの温度低下に注意するようにしましょう。リポバッテリーが活性化されず、本来のパフォーマンスを発揮できずに墜落なんでことになりかねません。

まとめ

今回は空ものラジコンで、特に電動機をたのしむ時に知っておきたい知識をQ&Aの形でお届けしましたがいかがでしたでしょうか?

目に見えてわかりやすいエンジン機と比較すると、知識がないとわかりづらいのが電動機です。必要な知識を覚えて、安心安全に電動機を飛ばすようにしましょう。

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