電動飛行機を飛ばすために知っておきたい基礎知識
現在のラジコン飛行機はモーターとバッテリーの組み合わせで飛ばす電動機が主流となっています。一昔前までは模型用エンジンを搭載したエンジン飛行機がメインでしたが、2000年代に入り、ブラシレスモーターやリポバッテリーが登場し、価格もこなれてきたことがキッカケで、パワフルかつ燃費も良く取り扱いも簡単な電動飛行機が一気にその覇権を握りました。
そんな電動飛行機ですが、モーターやESC、リポバッテリーといった電動機特有のアイテムについて、どこまで正確に知っているでしょうか?意外と知らないまま、フルセットの組み合わせそのままで飛ばしていて、その先にある電動機の面白さにたどり着いていいないフライヤーの方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は電動機を飛ばす上で知っておきたい、電動まわりの基礎知識を紹介していきたいと思います。
①モーター&ESCの選び方
最近の電動キットにはモーターやアンプが付いていることが多く、そういった場合は付属のものを使えばまず間違いなく飛びます。しかし、機体のみのキットの場合、自分でモーターとESCを選ぶ必要があります。ここではその判断基準について紹介したいと思います。
まずモーターですが、最近のものはサイズ表記などが業界全体であまり統一されていなく、一昔前のように400クラスのような区別がしにくくなっています。そこで各モーターのスペックからどの程度のパワーが出る製品なのか判別する必要があります。
基本的に市販されているモーターには、プロペラサイズ、静止推力、最大電流値といったデータが出ているので、自分が搭載しようとしている機体の全備重量とそれらのデータを比較して、同等かやや上の推力が出るようなモーターを選ぶと良いでしょう。また、ブラシレスモーターにはKV値が書かれており、1Vあたりの回転数(1KV)が分かりますので、それによって高回転型かトルク型かも判別できます。アクロ機などはトルク型、EDF機のような機体は高回転型を搭載するのが一般的です。
一方、モーター出力を制御し、回転をコントロールするESC(アンプ)は、モーターと使用する動力用バッテリーを考え、モーターに流れる電流値から許容容量のスペックを持つアンプを選びます。例えばモーターに流れる最大電流が30Aとするならば、30Aのアンプでは危険なので、40Aや50AといっESCを選ぶようにします。これは、容量がギリギリでは瞬間的に流れた際に危ないので、やや上のスペックを持つESCを選ぶ必要があるからです。
また、アンプには動力用バッテリーから受信機へ電源を供給できるBEC機能の付いたものと、機能がないものがあります。BEC機能がない場合は、別に受信機バッテリーを搭載しなくてはいけないので注意しましょう。
②リポバッテリーの取り扱い方
電動飛行機がここまで主流になったのは、ひとえにバッテリーがよくなったからと言っても過言ではありません。10数年前より、それまでのニッカドバッテリーやニッケル水素バッテリーに代わって登場したリチウムポリマーバッテリー(リポバッテリー)は、高容量でパンチ力(放電能力)があり、しかもこれまでのバッテリーとくらべて軽量ということで、電動飛行機には最適なバッテリーとなっており、空ものラジコンで使われるようになって以来、価格も下がり、さまざまな種類のバッテリーがリリースされるようになりました。
リポバッテリーはこのように非常に便利なバッテリーですが、その取り扱いを間違えると発火や爆発する危険がありますので、取り扱いには充分注意しましょう。リポバッテリーの充電に関しては、次の充電の項で解説するので、ここではリポバッテリーそのものの取り扱いについて紹介していきます。
まず、リポバッテリーは衝撃そのものに弱いため、高いところから落としたり、表面に傷がつくような取り扱い方は絶対にしないようにしましょう。また、リポバッテリーは層ごとに分かれており、それが何層にも重なってひとつのバッテリーとなっています。これがセルと呼ばれるものですが、その構造を無理に引き剥がしたりは絶対しないでください。
また、リポバッテリーを保管する際は、耐火性のケースに入れて厳重に保管します。その際、コネクター同士が接触してショートを起こさないようにしなければなりません。さらに、保管時は放電機能の付いた充電器やディスチャージャーでストレージ電圧まで放電しておきましょう。次に使うからといって満充電で保管しておくのは危険です。
リポバッテリーを使って飛ばす際は、飛行前に必ず電圧を確認し、満充電になっているか確認しましょう。また、飛行はバッテリーの容量がゼロになるまで使い切ってはいけません。これはリポバッテリーが壊れる原因となりますので、残量20~25%程度でフライトを終えるようにします。あらかじめフライトして燃費を確認しておくか、テレメトリーセンサーでリアルタイムにバッテリー電圧を確認できるようにしましょう。
最後に、リポバッテリーを使っているとバッテリーが膨らんできてしまうことがあります。これは内部で不具合が起こっており、バッテリーが壊れている証拠なので絶対に使わないようにしましょう。廃棄方法は、まずリポバッテリーを塩水に漬けて、泡が出なくなるまで出し切り、その後は各自治体が定めている廃棄方法に従って廃棄します。決して、勝手に廃棄したりしてはいけません。
③安全で快適なバッテリー充電
前項で述べたとおり、リポバッテリーは取り扱い方を間違えると発火や爆発の危険がありますが、これらが最も起こる可能性があるのが充電時です。正確に統計をとったわけではないですが、ほとんどのリポバッテリーに関する事故は充電時のものが多く、充電をおこなう際は充分に注意しましょう。
さて、最近の充電器はいわゆるマルチタイプと呼ばれるものがほとんどです。これはリポバッテリーだけでなくニッケル水素やニッカドなどいろいろなバッテリーを充電できるものです。このタイプの充電器でリポバッテリーを充電する際は、バッテリータイプを間違えないようにすることが大切です。必ず「Li-Po」といったリポバッテリーを示す表示になっていることを確認してから充電を開始するようにしましょう。
次に充電する電流値に注意する必要があります。リポバッテリーを充電する際は1C充電が基本です。1C(キャパシティ)充電とはバッテリーの放電能力と同じ電流で1時間で充電するということ。例えば1300mAhのリポバッテリーを充電するならば、充電電流は1.3Aに設定します。高い電流値で早く充電を済ませようとせず、安全とバッテリーのためにも、必ず1C充電を守りましょう。
また、充電する際は何か不測の事態になった時に対応できるように、すぐに充電を止められるようにしておきます。ずっと注視して見る必要はないですが、充電したまま出かけたりしないようにして、異常時はすぐに充電をストップできるようにしましょう。
最後に、リポバッテリーの保管ですが、満充電での保管は危険です。最近の充電器は放電機能が付いていたり、放電専用のディスチャージャーと呼ばれるアイテムも発売されている。もし持っていない場合は充電が約60%程度になるように、一度満充電にしてから、モーターを空回しするなどして、放電してから保管します。ストレージ放電機能が付いている充電器をひとつ用意しておくのが良いでしょう。
④まとめ
今回は電動飛行機を飛ばす上で知っておきたい、電動機の基礎知識を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
モーターやESC、リポバッテリーは電動飛行機を飛ばす上で必須のアイテムであるがゆえ、それらのアイテムの知識をしっかりと身に付けて安全に取り扱うことが大切です。ぜひこれを機会に電動デバイスの知識をより深く身に付けてみてはいかがでしょうか?