意外と知らない!?模型用グローエンジン基礎の基礎
最近では、ラジコン飛行機やヘリを飛ばす際に使用するパワーソースは、やはり電動が最初に選択肢として挙げられます。最近のブラシレスモーターとリポバッテリーの組み合わせはパワーがあり、以前はエンジンを搭載して飛ばしていたF3AやF3Cの機体も思いのまま飛ばすことができてしまいます。
そういった時代背景もあり、エンジン機を飛ばす人が減っているのが事実ですが、しかしエンジン機にはエンジン機の魅力があり、電動機で入門した人も、エンジン機を飛ばしてみたいと思う人も多くいるようです。
しかし、ひとくちに「エンジン機」と言っても、どんなものを使っているのか知らない方も多いことでしょう。そこで今回は模型用エンジンとしてよく使われるグローエンジンについて、紹介していきたいと思います。
①グローエンジンとは!?
「グローエンジン」は、構造が単純で扱いやすく、エンジンの重量が軽くパワーも大きいため、古くから模型用エンジンとして広く使用され、現在でも世界中の多くのエンジン模型マニアによって使用され続けています。燃料も一般的なメチルアルコールを主体としたもので扱いやすく、比較的入手が容易であったことも広く普及した要因のひとつでしょう。
この「グローエンジン」という名前の由来は、点火方式として赤熱するヒーターをもつグロープラグを使用しているからで、始動時のみプラグに通電してヒーターコイルを赤熱させ、一旦始動してしまえばプラグへの通電を外しても、シリンダー内の燃焼爆発による熱でヒーターの赤熱状態を保たれすぐ次の点火を誘発して運転を持続するエンジンとなっており、模型用エンジンのなかでも最も多く普及している代表的なエンジンです。
現在では「グローエンジン」は小型機用の排気量1cc程度の小さなものから、大型機用の排気量40cc以上の大きなもの、さらには燃料ポンプやインジェクションを装備して混合気を調整し、安定性を重視したスタント機用やアクロ機用の高性能なものまで、多くの種類のものがリリースされています。
模型用「グローエンジン」の大きさはシリンダー内の排気量で区別されます。その単位は一般的に立方インチで表現され、呼び方は10「イチマル」(0.10立方インチ)、20「ニーマル」(0.20立方インチ)、というように呼ばれ、60「ロクマル」(0.60立方インチ)でおおよそ10ccの排気量となり、120「ヒャクニジュウ」でおよそ20ccの排気量のエンジンとなります。
ラジコン飛行機やヘリの大きさについても、機体に適合する「グローエンジン」の大きさで区分されることが多く、例えば50クラスとか、120クラスといったような呼び方をします。
また「グローエンジン」には2ストロークと4ストロークがあり、単気筒のほか水平対向、直列、星形などの多気筒のものも発売されています。
②グローエンジンの燃料は!?
模型用エンジンに使用する燃料は、グローエンジンやガソリンエンジンなど、搭載されているエンジンの種類によって異なりますが、両者ともに共通している部分として、模型用として小型軽量化されているために、オイルの潤滑装置を備えていません。
つまり、自動車のエンジンのように潤滑手段としてオイルを各回転部分に供給するオイルポンプなどはなく、昔のバイクに使用されていた2ストロークエンジンのように、燃料にあらかじめ潤滑油を混ぜておき、キャブレターからクランクケース内を通り、シリンダー内で燃焼爆発する燃料に含まれる油分によってエンジン各部を潤滑する、混合燃料方式となっています。
ラジコン模型用エンジンとして広く使用されているグローエンジンの燃料は、主成分はメタノール(メチルアルコール)で、潤滑油としてヒマシ油や化学合成オイルなどが添加され、さらに燃焼性能を向上させるための添加剤として、ニトロメタンなどが用途に合わせ、バランス良く配合されています。
グロー燃料の潤滑油として以前はヒマシ油が使用されていました。排気ガスの焼けた匂いが独特な植物油系のヒマシ油ですが、高温下での潤滑製は高いものの酸化が早く、模型用エンジンでは使用した後に放っておくと、エンジン内部でヒマシ油の成分が茶色く固まってしまい、エンジンが固着しやすいという欠点がありました。そのため、現在では扱いやすい化学合成オイルを配合した燃料が多く使用されています。
③グローエンジンのメンテナンスは!?
グローエンジンを搭載しているエンジン飛行機の場合には、エンジン自体のメンテナンスのほか、振動による機体各部の緩みのチェックや、排気に含まれる油分などによる機体の汚れについて、飛行後に適切なメンテナンスをおこなうことが、機体やエンジンの寿命を延ばすために不可欠です。
グローエンジンの場合、飛行させると、グロー燃料がエンジン内で燃焼したときの排気ガスに含まれる硝酸ガスと水分が反応して、エンジン内で強い酸性の物質が生成されます。この硝酸の酸化力は非常に強く、飛行を終えて、そのまま放っておいた場合、時には一週間程度の放置でも、ベアリングが錆びてエンジンの動きに影響を与えるケースもあります。
グローエンジンのメンテナンスのポイントとしては、一日の飛行が終了したならば、タンク内に残った燃料を抜き取り、再度エンジンを始動させエンストするまで運転させます。その後、スターターでエンジンを10秒程空回しして、エンジン内部に残った排気ガス成分を完全に排出します。
その後、防錆剤としてエンジンメーカーから市販されている「メンテナンスオイル」をキャブレターや排気口から数滴注入し、エンジンをクランクし、エンジン内部に行き渡らせます。この作業によってかなりの防錆効果が得られ、次の飛行まで、エンジン内部やベアリングを錆から守り、エンジン本来のパフォーマンスを長い期間発揮してくれることになります。
また、機体に付着した油や排気を取り除くには、柔らかい生地のウエスで油分を分解するクリーナーを使っておこないます。一日のフライトが終了したら、必ず機体を拭いて、次の飛行に備えるようにしましょう。
④まとめ
今回は模型用グローエンジンの基礎について紹介してきました。知っているようで意外と知らないグローエンジン。これからエンジン機を飛ばす方に、まずは知って頂きたいグローエンジンとはなんぞや!?を書いてみました。次の機会があれば、グローエンジンの始動や調整についても紹介したいと思います。