変幻自在の飛行を目指せ!電動アクロ機で楽しむ爽快フライト!

電動アクロ機に挑戦しよう!

近年の電動パワーユニットの発達にはめざましいものがあり、RC機でのアクロフライトの世界を様変わりさせてしまったといっても過言ではないでしょう。今から十数年前、ブラシレスモーターとリポバッテリーが普及する以前には、RC飛行機によるトルクロールなどの3Dアクロ飛行といえば、ガソリンエンジンを搭載した大型アクロ機が中心で、グローエンジン搭載の小型機の場合は、分厚い翼型の大きな主翼をもち、プロフィール型胴体を持ついわゆる「ファンフライ機」と呼ばれる機体が主流であり、スケールライクな小型機での3Dアクロ飛行など夢の領域でした。

しかし、現在では、エンジンに勝るパワーとレスポンスを発揮する電動パワーユニットが簡単に手に入るようになり、機体を構成する素材と設計技術の進化による剛性アップと軽量化も加わって、電動であれば、手頃な大きさの50クラス、スケールエアロバティックス機でも、「コブラ」や「トルクロール」など、手軽に高度な3Dアクロ飛行を楽しむことが可能となりました。

寒い冬の時期に、体育館などインドアで楽しむアクロフライトも、電動機ならではのものといえます。フライト場所がインドアのため、当然エンジン機では不可能なジャンルであるが、インドアプレーンの世界でも、電動パワーユニットの発達によって、一昔前の、ただフワフワとゆっくりした飛行を楽しむ時代から、インドアプレーン特有の激しくトリッキーなアクロフライトを楽しむことが出来るようになりました。

このように、現在の電動アクロ機は、インドア用の超小型アクロ機から、150ccガソリン機クラスの大型電動アクロ機まで、幅広く楽しむことが可能となっています。

エンジン機と電動機の違い

アクロ機の場合には、エンジン機にはエンジン機の良さがあり、電動機には電動機の良さがあるので、マニアの好みによって選ぶこととなりますが、電動アクロ機の場合には、同クラスのエンジンよりも一回り大きなプロペラを使用できるため、そのプロペラ後流を利用して、大きな面積の動翼をコントロールすることによって、エンジン機とはまったく違うトリッキーなマニューバをおこなうことも可能です。

エンジンの場合には、そのエンジンの出力特性に合わせたプロペラの選定と、3Dアクロ飛行で多用する中速域でのスロットルワークに対してのレスポンスが重要であり、特にプロペラの小さなグローエンジン搭載の小型機の場合には、3D飛行中のスロットルワークに高い技術を要することとなる。しかし、機体の重量と慣性を意識した演技をおこなうことによって、よりスケールライクに見せるエアロバティックスをおこなう場合には、エンジンの方が勝っているといえるかもしれません。

また、エンジンの場合には、どんな姿勢でもエンストしないスロー調整と、低速から高速へと吹きあがる中速域でのキャブレター調整に、エンジンに対する知識と経験、そして、時間をかけて納得できるまで調整する根気が必要ですが、電動の場合には面倒な調整は一切必要がなく、ブラシレスモーターのコイルの巻き数によるKV値の変化によって、自由な出力特性のモーターを選ぶことが可能であり、ギヤダウンユニットを使わずに、ダイレクトドライブによって大きなプロペラを回転させることが可能です。

したがって、電動アクロ機の場合には、最初のパワーユニット選定で適切なものを選択すれば、あとはほぼメンテナンスフリーで毎回コンスタントなパワーとレスポンスが得られるのだ。

電動アクロ機の種類と選び方

電動アクロ機には、インドア競技用の200グラム足らずの小型機から、150ccガソリン機クラスの大型電動アクロ機まで、幅広い大きさと種類のものがありますが、あくまでも3Dアクロ機として選ぶならば「機体重量が軽いこと」、「機体重量以上の推力があること」、「主尾翼面積が充分にあること」、「動翼面積が大きく、舵角が45度以上切れること」、「胴体側面積が充分にあること」などが条件として挙げられます。

インドアプレーンであれば、プロフィール型の機体が主となっており、練習用には壊れにくいEPP製のものを、上級者や競技用には軽く剛性の高いデプロン製のものを選ぶと良いでしょう。

屋外で楽しむ電動アクロ機としては、初心者のアクロ練習用として、EPP製プロフィール機がオススメです。EPP製プロフィール機の多くは厚い1枚板のEPP製胴体と主尾翼で構成されており、ベニヤやカーボンで補強された機体は剛性が高く丈夫で壊れにくいのが特徴です。また、万一墜落させてしまっても、その壊れ方は比較的単純で、破片を残らず回収しておけば、エポキシ系接着剤などで簡単に補修できる場合があります。

また、このタイプの電動プロフィール型アクロ機は、舵角を小さく設定することによって、初心者のトレーナー機としても充分活用でき、初めて飛行に望む場合の安全性も非常に高いと言えます。

50クラス以上の電動アクロ機になると、最近では実機エアロバティックス機をスケールダウンした機体が多くなっていますが、本格的な電動アクロを目差すのであれば、電動専用機として設計された機体を選ぶことによって、重量も軽く、バッテリー搭載などのメンテナンスハッチが設けられているので、飛びも良く扱いやすいと思われます。

さらに、ナイフエッジなどの横もののマニューバにおいて、浮きを良くするために翼端板などが装備されている機体を選ぶと、高度な飛行が可能となるでしょう。ただし、最近の電動専用機は重量を軽くするために、胴枠や胴体側板など極限まで肉抜きされたものが多いため、万一墜落させてしまったときのダメージは大きいので、新しい技にチャレンジするような場合には、先の電動プロフィール型アクロ機を利用するのがベストです。

電動アクロ機の構造について

電動アクロ機の構造は、機体の大きさや用途によってさまざまな工夫がされていますが、共通している所は、機体を極限まで軽くし、なおかつ急激な姿勢変化でGが掛かったときに、機体が壊れたり変形しないように剛性を持たせる工夫がされている点です。

例えば、インドア機の場合には、胴体および主翼には薄くて軽いEPPやデプロンの板が使われているが、そのままではフニャフニャで剛性がなく、床に置いただけで自重によって変形し、機体の形状を保つこともできません。しかし、主翼に主桁としてカーボン製のフラットバーを埋め込み、胴体にはカーボンロッドをトラス上に取り付けることによって、飛行時のGに耐える必要最小限の強度と剛性を確保しています。

また、インドア機の場合には、せまい空間での飛行となるために、降下時でも飛行速度が一定になるよう下げる必要があります。そのために、抵抗となるエアブレーキをエルロンやラダーの後縁に取り付けて、常時ブレーキを掛けた状態で飛行させています。

屋外で飛行を楽しむEPP製プロフィール機の場合には、厚いEPP素材のなかに、カーボン製のフラットバーや木製の補強材を挿入して、飛行中の機体にかかるGに対して胴体のネジレや主翼の撓みを防ぐ工夫がされています。

実機エアロバティックス機をスケールダウンした50クラス以上の電動アクロ機になると、最近ではモーターマウントから主翼取り付け部にかけて、必要最小限の部分にベニヤ合板を用い、後部胴体の上部には成型した発泡スチロール、後部胴体の縦通材にはバルサ棒をカーボン繊維で補強した「ハイブリット材」などを使用した機体が多く見られ、側板や胴枠などはレーザーカットによって芸術的とも言えるほどの肉抜きが施されています。

この構造は大型機になっても同様で、設計技術と加工技術の双方の進歩によって、アクロ飛行に耐えうるだけの必要最小限の部材を用い、実機に近い構造で構成されています。

電動アクロ機のパワーユニットについて

電動アクロ機に用いるパワーユニットとしては、同クラスであればエンジン機よりも一回り大きなダイヤをもつプロペラを使用するため、比較的KV値の低い高トルク型のブラシレスモーターを使用することが多くあります。

また、トルクロールなど3Dアクロをおこなうのであれば、最低でも機体重量を上回る推力を発生するパワーユニットの搭載が必須となります。パワーに余裕があれば、大径プロペラから発生する強力なプロペラ後流によって、失速状態での機体の制御を、大きな面積で大きな角度まで動かすことのできるラダーやエレベーターを利用しておこなうことが可能です。

また、姿勢がくずれて立ち直れない場合には、一気にスロットルを上げて上空へと待避することが出来るため、より安全に3Dアクロを楽しむことができるでしょう。

電動アクロ機のメカについて

電動アクロ機に搭載するメカのなかで、特に気を付けなければならないのがサーボです。アクロ機の場合、エルロンやエレベーター、ラダーなどの動翼面積が非常に大きく、さらに45度以上もの大きな角度まで動かすため、通常のサーボホーンではストロークが足りず、「アクロホーン」と呼ばれる長くて頑丈なサーボホーンを取り付けて使用することが多くあります。

そのため、スポーツ機やスケール機など、通常の機体よりも大きなトルクを持つハイトルクサーボを使う必要があります。また、特に大きな面積をもつラダーなどの場合、離着陸時など、サーボに強いキックバックが働く可能性もあるので、ギヤの破損がしにくいメタルギヤサーボを使用する方が安全です。

電動アクロ機のセッティング

電動アクロ機のセッティングについては、通常の飛行機と基本的なセッティングは同じですが、3D飛行をおこなうためには、機体が失速状態でもプロペラ後流を利用して機体を操るため、エルロン、エレベーター、ラダーの舵角を少なくとも45度以上にセットする必要があります。

通常の場周飛行や離着陸をおこなう場合には、アクロ飛行時の大きな舵角のままでは非常に飛ばし辛いため、通常はプロポのデュアルレート機能を利用して、スイッチによって離着陸時の小さな舵角とアクロ飛行時の設定を切り替えるセッティングをおこないます。

しかし、デュアルレートによる舵角の切り替えはマニアによって好みがさまざまで、多くのベテラン3Dアクロフライヤーのなかには、離陸から着陸まで、大きな舵角設定のまま飛行させているフライヤーも多くいます。その場合、各舵のエクスポネンシャルを40%以上と大きく設定し、自分の指でスティック操作を加減して切り換えをおこなっているようです。

飛行機用ジャイロの活用について

最近では、各メーカーより、飛行機用ジャイロが販売されています。その機能も、初心者の安定飛行を重視して、スイッチを入れると自動的に水平飛行に復帰するものから、操縦者の場所までGPS機能を利用して自動操縦により戻ってくるもの、また、アクロ飛行時に活用して、よりトリッキーな飛行をおこなうサポートをしてくれるものまで高性能なものとなっています。

そんな高性能ジャイロなどない時代から、血の滲むような努力をして腕を磨いたベテランフライヤーからすれば、「飛行機にジャイロなど必要ない」という人がほとんどでしょう。確かに、AVCSやホバリング機能を利用して、離着陸もままならない初心者がトルクロールを低空でおこなうような事例は論外ですが、初心者の離着陸時や、ベテランのアクロフライトにこれらの機能をサポートとして利用すれば、さらにトリッキーで面白い3Dアクロ飛行を、より安全におこなうことが可能になると思うので、ぜひ活用してみても面白いでしょう。



FT-034732

GYA553 飛行機用6軸ジャイロ

希望小売価格 ¥19,000(税込: ¥20,900)

販売価格 ¥13,300(税込: ¥14,630)

詳しくはこちら

まとめ

今回は爽快なフライトが楽しめる電動アクロ機について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?

アクロ機を自在に操って、自分のマニューバがしっかり決まった時の楽しみは限りなく深く、このジャンルならではの魅力があります。今の飛ばし方に飽きが来ている方は、ぜひ電動機でアクロバティックな飛行にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?