知っておいて損はない!?模型用エンジンの豆知識3選!

ラジコン飛行機だけでなく、ラジコンヘリやドローンまでそのほとんどがモーターとリポバッテリーの組み合わせで飛行する電動機になっている昨今ですが、まだまだ模型用エンジンを搭載した機体を愛好しているマニアは多く、内燃機関たるその魅力は決して色褪せるものではありません。

一方で模型用エンジンについては、憧れはあるもののまだまだ深く知らないという方も多くいるようで、エンジンのちょっとした知識やノウハウは貴重な情報として受けいれられるようです。

そこで今回は模型用エンジンに関して、知っておいて損はない豆知識を3つお届けしたいと思います。これを機にぜひ模型用エンジンについて興味を持ってもらえると嬉しいです。

①エンジンの搭載方法について

現在、電動飛行機の主流はブラシレスモーターですが、機体への搭載方法は、回転しないバックプレートなどにマウントを取り付け、スペーサーを介して機体の防火壁へとボルト止めする方法が一般的です。

一方、エンジン機の場合には、クランクケースから大きく張り出したシリンダーと、排気ガス排出する大きなマフラーを、機首にどう納めるかがエンジン搭載のポイントとなっています。

模型用エンジンの搭載方法としては、シリンダーの向きによって、正立(シリンダーヘッドが上)、横置き(シリンダーヘッドが横)、倒立(シリンダーヘッドが下向き)の3方向が主にあります。グローエンジンの場合であれば、始動時にプラグへと通電するプラグヒートをシリンダヘッド部分へと接続する必要がありますので、倒立に搭載した場合は、プラグヒートをする際に機体をひっくり返す必要があります。

また、倒立にすると、エンジン始動時には余分な燃料がシリンダー内に入り込むオーバーチョーク状態になることがあり、特に2ストロークエンジンを倒立に搭載した場合には、シリンダー内に入り込んだ余分な燃料を排出することができず、プラグが濡れてしまうのと同時に、液体を圧縮する状態になりやすいです。

その状態でスターターを無理に回そうとすると、エンジンを壊してしまうこともあります。このような、いわゆるオーバーチョーク状態になってしまったら、機体を持ち上げてエンジンの排気口を下向きにし、プロペラを手で回して余分な燃料をマフラーから排出してやる必要が出てきます。

模型用エンジンを機体に取り付ける場合には、搭載する機体の種類や形状によって、正立、横置き、倒立など、さまざまな搭載方法が可能でありますが、初心者用のトレーナー機にはエンジンを扱いやすい正立に搭載し、ベテランが飛ばすスタント機など、扱いやすさよりも性能を重視する機体の場合には、カウリング内にエンジンやサイレンサーが納まる倒立に搭載するなど、機体の用途によってエンジンの搭載方法は選択されています。

このようにエンジンの搭載方法ひとつを取っても、モーターと異なり多くの要素を考えながら方法を決めていく必要があります。

②模型用エンジンの燃料について

模型用エンジンに使用する燃料は、グローエンジンやガソリンエンジンなど、搭載されているエンジンの種類によって異なります。しかし、両者ともに共通している部分として、模型用として小型軽量化されているために、オイルの潤滑装置を備えていないということです。

これはつまり、自動車のエンジンのように潤滑手段としてオイルを各回転部分に供給するオイルポンプなどはなく、一昔前のバイクに使用されていた2ストロークエンジンのように、燃料にあらかじめ潤滑油を混ぜておき、キャブレターからクランクケース内を通り、シリンダー内で燃焼爆発する燃料に含まれる油分によってエンジン各部を潤滑する、混合燃料方式を採用していることに注目です。

ラジコン模型用エンジンとして広く使用されているグローエンジンの燃料は、主成分はメタノール(メチルアルコール)で、潤滑油としてヒマシ油や化学合成オイルなどが添加され、さらに燃焼性能を向上させるための添加剤として、ニトロメタンなどが用途に合わせ、バランス良く配合されています。

グロー燃料の潤滑油として古くから使用されているヒマシ油は、排気ガスの焼けた匂いが独特でありますが、植物油系のヒマシ油は高温下での潤滑製は高いものの酸化が早く、模型用エンジンでは使用した後に放っておくと、エンジン内部でヒマシ油の成分が茶色く固まってしまい、エンジンが固着しやすいという欠点があります。そのため、現在では扱いやすい化学合成オイルを配合した燃料がそのほとんどとなっています。

模型用ガソリンエンジンに使用される燃料は、草刈り機など小型2サイクルエンジンで使用するものと同じ混合ガソリンです。混合用オイルには、植物油、鉱物油、化学合成オイルなど、多くの種類があり、ガソリンとの配合比も20:1から100:1程度までとさまざまです。

一般的には、オイルの混合量が少ないほど燃焼効率がよくパワーが出ますが、模型用ガソリンエンジンの場合、混合するオイルの種類と配合量によって、性能や寿命が大きく左右されることとなりますので、エンジンメーカーの推奨するオイルと、オイルメーカーの指定する混合比で使用するのが良いでしょう。

③エンジン機のメンテナンスについて

電動飛行機の場合には、リポバッテリーの管理さえ適切におこなえば、排気による機体の汚れもなく、動力源であるブラシレスモーターやコントロールアンプなどは、ほとんどメンテナンスフリーと言えます。

しかし、グローエンジンやガソリンエンジンを搭載しているエンジン飛行機の場合には、エンジン自体のメンテナンスのほか、振動による機体各部の緩みのチェックや、排気に含まれる油分などによる機体の汚れについて、飛行後に適切なメンテナンスをおこなうことが、機体やエンジンの寿命を延ばすために不可欠となります。

例えば、グローエンジンの場合、飛行させると、グロー燃料がエンジン内で燃焼したときの排気ガスに含まれる「硝酸ガス」と水分が反応して、エンジン内で強い酸性の物質が生成されます。「硝酸」の酸化力は非常に強く、飛行を終えて、そのまま放っておいた場合、時には一週間程度の放置でも、ベアリングが錆びてゴロつきが出てしまうようなケースもあります。

グローエンジンのメンテナンスのポイントは、一日の飛行が終了したならば、まずはタンク内に残った燃料を抜き取り、再度エンジンを始動させエンストするまで運転します。その後、スターターでエンジンを10秒程空回しして、エンジン内部に残った排気ガス成分を完全に排出します。

その後、防錆剤をキャブレターや排気口から数滴注入し、エンジンをクランクし、エンジン内部に行き渡らせます。この作業によってかなりの防錆効果が得られ、次の飛行まで、エンジン内部やベアリングを「錆」から守り、大切なエンジンを長い期間使用することが可能となります。

また、機体に付着した油を取り除くには、柔らかい生地のウエスと、油分を分解するガラスクリーナーなどが多く使用されています。機体を長く使用することの多いF3Aフライヤーの場合には、1日の飛行を終えると、愛機を磨き上げ、カバーをかけて大切に保管している。彼らの機体が何年経っても新品のような外観を保っているのは、日頃の入念なメンテナンスの成果なのです。

④まとめ

今回は知っておいて損はない、模型用エンジンの豆知識を3つお届けしましたがいかがでしたでしょうか?

模型用エンジンは非常に奥が深く、季節によっても設定が異なりますので取り扱いが難しい反面、非常にやりがいのあるものです。ぜひ模型用エンジンに興味を持って頂き、エンジンのサウンドやトルク、パワーを感じ取って頂ければと思います。