アクロ機からグライダーまで!ラジコン飛行機ジャンル別楽しみ方ガイド!
風が気持ちよく吹く季節になり、ラジコンマニアの皆さんも飛行場で思い思いの機体を飛ばしていることでしょう。そんなラジコンシーズン到来の今、同じラジコン飛行機でも、これまでとは異なるジャンルの機体を飛ばして見るのはいかがでしょうか?
ひとくちにラジコン飛行機と言ってもさまざまなジャンルがあり、その楽しみ方もいろいろです。同じジャンルを極めるのもいいですが、せっかくのラジコン飛行機という趣味をお持ちなのであれば、多種多様なジャンルの機体を飛ばしてみるのもいいのではないでしょうか?
そこで今回は、ラジコン飛行機のジャンル別の楽しみ方を紹介していこうと思います。ぜひ今シーズンはこれまでと違う機体で、新しい楽しみ方をしてみてください。
①:エンジン飛行機の楽しみ方
ラジコン飛行機を楽しむうえで、特にある程度年輩のマニアのなかには、飛ばす楽しさもさることながら、エンジン模型として、動力となる模型用エンジン自体に魅力を感じるマニアも多くいらっしゃいます。何歳になっても、模型用エンジンは大人を童心に帰らせる魅力を持っているものであり、特にベテランマニアのなかには、少年時代に見た模型飛行機のエンジン音と、当時のグロー燃料に使用されたヒマシ油の燃える排気ガスの独特な匂いなど、当時の記憶に残る感動と興奮は、年を重ねて大人になっても忘れるものではなく、やはり模型飛行機の原点はエンジンを搭載した機体でなければならないという、強いこだわりを持つエンジン機マニアも多いのではないでしょうか。
そんな中で、エンジン機は飛行させるまでの手間が掛かるが、メカニカルな内燃機関のエンジンを始動させるという作業そのものも、模型飛行機の楽しみのひとつとなっています。
燃料を入れ、キャブレターへと燃料を呼び込み、プライミングとクランキングによりエンジン内に燃料とオイルを行きわたらせて、シリンダー内の適切な混合気をイメージしながら、クランク一発で始動したときの満足感は、電動飛行機にはない格別なもの。
最近では、模型用ガソリンエンジンの小型軽量化が進み、各エンジンメーカーからも小型ガソリンエンジンが多く販売されており、グローエンジンとともに搭載するエンジンの選択肢も増えています。また、エンジン機は排気音も大きな魅力のひとつであり、特にスケール機の場合には、実機さながらのエンジン音と排気煙を残してのローパスなど、電動飛行機では味わうことのできない大きな魅力となっています。
②電動飛行機の楽しみ方
電動飛行機は、この20年ほどの間に急速に発達したブラシレスモーターやリポバッテリー、ESCなどの電動動力ユニットによって、エンジンのパワーと同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮することが可能となりました。
電動飛行機の魅力として、機体製作時にモーターやESC、バッテリーなどの選定さえ適切であれば、飛行場でのエンジン始動や、エンジンの難しい調整も必要とせずに安定したパワーが得られ、排気による機体のオイル汚れもなく、飛行場でバッテリーを接続してスイッチを入れるだけで、簡単に飛行させることができるうえに、飛行中のエンストなどのリスクも小さく、飛行技術習得のための操縦練習に集中することが可能なため、入門者のほとんどは電動のトレーナー機でファーストフライトを楽しんでいます。
電動飛行機のメリットを活かした代表的な楽しみ方のひとつとして、小型機による3Dアクロ飛行があります。エンジンよりも大径プロペラを使用することが可能で、中低速域での出力特性も自由に調整出来る電動飛行機は、トルクロールなどホバリング時のスロットルワークに対しての反応にすぐれているため、電動飛行機でアクロ飛行を楽しむのもオススメです。
③スタント機の楽しみ方
大空に、規定どおりの美しいパターンを描き、その正確さを競うスタント競技(F3A)は、フリーフライト機による記録飛行に始まった、模型飛行機競技の歴史のなかでも花形であり、F3A競技にあこがれてラジコン飛行機をはじめたマニアも多くいます。
そんなスタント機は、競技種目の変化に追従するようにつねに進化し続けており、大空に描かれるパターンを正確にトレースし、高得点を獲得するためには、第一にクセのないニュートラルな機体が求められます。したがって、競技用の機体製作には寸分の狂いも許されず、スタント機を専門に製作するプロのビルダーも存在します。
時代とともに変化を続けている競技規定も、最近ではスロースタントの傾向にあり、低速ナイフエッジ状態での浮きを向上させるために、主翼に取り付ける整流板「サイドフォース・ジェネレーター」や、胴体に取り付ける「カナライザー」などをもつ機体が多く、複葉のスタント機も非常に増えました。また、演技中の機速を一定に保つために、安定したパワーと適度なブレーキが必要であり、入念なエンジン調整や電動動力ユニットの調整も不可欠なものとなっています。
スタント機の楽しみ方は、競技会での入賞という目標をもった飛行をおこなうことで、正確にパターンをトレースするため、自分に合ったクセのない機体調整と、風などの外的要因に影響されないよう、どんな状況下でも、正確にパターンを描くことのできる飛行技術を身に付けるよう、仲間と日々の練習を重ね、切磋琢磨していくことが最大の楽しみではないでしょうか?
④スケール機の楽しみ方
ラジコン飛行機に入門する際に、零戦やムスタングなどのスケール機を、自由に飛ばすことを夢見て始めた方も多いと思いますが、ラジコン飛行機を楽しむうえで、実機を模したスケール機は、模型飛行機の原点ともいえるジャンルではないでしょうか?
ラジコンスケール機の魅力としては、大きく分けて二つあり、ひとつは、さまざまな素材と工夫を凝らした製作技術を駆使し、ディテールにこだわって機体の細部まで、手間を惜しまずプラモデルのように実機どおりに忠実に造り上げた機体を眺めて楽しむビルダー派のマニアと、地上でのディテールにはこだわらずに、セミ・スケール機でもガンガン飛ばしてスケールライクな飛行を楽しむフライング・スケール派のマニアが存在します。
しかし、スケールマニアに共通していることは、持ち寄ったスケール機を囲んで、仲間達とスケール談義に花を咲かせることで、このときのマニア達の顔は一様に童心に返ることでしょう。これが、ラジコンスケール機を楽しむうえで一番の楽しみ方であり、ラジコンスケール機の魅力的な部分であると言えます。
また、実機に忠実に造り込まれたスケール機でも、その飛行がギクシャクとした、実機とかけ離れたものであれば、せっかくの機体が台無しとなってしまいます。逆に、セミ・スケール機でも、その飛行がスケールライクな素晴らしいものであれば、ギャラリーを大いに魅了することが可能です。
ラジコンスケール機である以上、「フライング・スケール」として、ギャラリーを唸らせるようなスケールライクな飛行を実現したいところ。そのためには、実機がどのような飛び方をしているのかを研究し、スティックワークを駆使して機体の挙動が少しでも、より実機に近づくような操縦をおこなうと、より一層スケール機が魅力的なものになることでしょう。
⑤アクロ機の楽しみ方
ラジコン飛行機のジャンルのなかでも、アクロ機の魅力といえば、現在ではすっかり「コブラ」や「トルクロール」といった3Dアクロのイメージが一般的となっていることでしょう。一昔前には、100ccや150ccクラスの大型ガソリン機でなければ、性能的にこれらの演技をおこなうことは不可能でしたが、現在では、急速に発達した電動動力ユニットと軽い機体素材によって、電動アクロ機が急速に広まり、バルサリブ組みの木製機であれば50クラス、EPPなど発泡素材のプロフィール機であれば10クラスの小型機でも、3Dアクロを気軽におこなうことが可能となっています。
最近の3Dアクロ機の構造は、軽量化のためにカーボンなどの新素材を多く取り入れて、極限まで肉抜きされたものが多く見られ、各メーカーの設計に共通している部分として、エルロンやエレベーターなど動翼の面積が非常に大きく、舵角もアクロホーンと呼ばれる長いサーボホーンを用い、45度以上の作動範囲を確保して、失速状態でもプロペラ後流を利用して機体の姿勢を制御することを可能とし、3Dアクロをおこなうために必要な性能を確保しています。
また、ナイフエッジ状態での浮きを確保するための「サイドフォース・ジェネレータ」を装備している機体も多く、トリッキーでダイナミックな演技によって、仲間やギャラリーを魅了させることが、3Dアクロ機の醍醐味であり、大きな魅力となっています。
⑥グライダーの楽しみ方
ラジコン飛行機とは違い、動力を使わずに自然のエネルギーを利用して優雅な飛行を楽しむことのできるグライダーは、飛行機にはない魅力を持っています。ラジコングライダーの大きな魅力といえば、空気抵抗を極限まで減らすために必然となる、細長い主翼と流線型の胴体をもつ美しいデザインの機体に加え、風や雲、地形などの条件から自然と対話し、上昇気流の発生を予測していかに長い時間滞空させ、長距離を速い速度で飛行させられるかなど、実機グライダーと同様そのスポーツ性と奥深さにあります。
現在のラジコングライダーは種類も豊富で、機体の素材にコンポジットを多用して軽量で高性能なハンドランチグライダーから、実機同様の格納式電動動力ユニットを搭載したスケールモーターグライダー、F3B、F3Jなど本格的な競技用グライダーなど数多くの種類があり、多くのラジコングライダーマニアが自分好みの飛行を楽しんでいます。
平地で楽しむサーマル用グライダーでは、ウインチやショックコードに変わり、機首に折りたたみ式プロペラを装備したモーターグライダーを楽しむマニアが多くいます。これは、高性能ブラシレスモーターと、小型高容量のリポバッテリーの発達により、平地でもショックコードやウインチなどの面倒な機材を使わずに、手軽にグライダーの飛行を楽しむことができるようになったことでその魅力が一気に増しました。
また、グライダーマニアのなかには、スケールグライダーを楽しむ人も多く、特にスロープソアリングでは、自分の目線の高さでスケールグライダーの優雅で美しい姿を堪能できるほか、ビンテージグライダーなど、製作時に仕上げに工夫を凝らし、美しい木目の機体表面やコクピットまで忠実に再現しているものもあり、非常に奥深いジャンルと言えるでしょう。
⑦ハンドランチグライダーの楽しみ方
ラジコングライダーのなかでも、近年多くの方々が楽しむようになったのがハンドランチグライダーです。ハンドランチグライダーの魅力的な部分は、ショックコードやウインチ、電動モーターなどの力を借りずに、人間の力だけで機体を放り投げるという発航方法で飛行させるため、スポーツ的な要素もあり、もっともエコロジーなラジコン飛行機といえるところでしょう。
しかし、人間の手で放り投げたグライダーで上昇気流を捕らえ、長時間の飛行をおこなうことは決して容易なことではなく、長時間の飛行を可能とするために、いかに高い高度まで機体を上昇させるか、また、地表近くにある小さく弱いサーマルでも上昇することのできる浮きの良さをはじめ、少ない高度損失で広範囲のサーマルを探すことが可能な、高性能な機体が必要となります。
さらに、ハンドランチグライダーの投げ方についても、時代とともに急激な様変わりを見せ、従来のジャベリン(ヤリ投げ)方式の投げ方から、円盤投げのようなフォームでグライダーの翼端をもち、助走をつけて身体をクルリと一回転しながら加速させ、体の真横から腕を伸ばした状態で発航する、サイドアームランチ方式が一般的となりました。
サイドアームランチをおこなうには、それなりに練習を積む必要はですが、この発航方法によって、少ない力で非常に高い高度までグライダーを上昇させることができるので、練習を重ね、要領をつかむとサーマルを捕らえて長時間滞空させるチャンスが増え、ハンドランチグライダーを飛ばす楽しさは倍増するはずです。
動力用バッテリーやショックコード、ウインチなどの余分な道具など何一つ必要とせず、機体を大空へと投げ上げるだけで、自由にサーマルソアリングを楽しむことのできるハンドランチグライダーの魅力は非常に大きく、仲間と滞空時間を競う競技など、勝負のかけひきを含め、スポーツ性も加わってその楽しみ方は奥が深く、初心者からベテランマニアまでを熱中させるだけの魅力を持っています。
⑧ダクテッドファン機の楽しみ方
ダクテッドファン機とは、エンジンまたは電動モーターによってダクト内のブレードを回転させて推力を得るダクテッドファンユニットを動力とする機体であり、その魅力は機体外部にプロペラのないジェット機タイプの機体を飛ばせる点にあります。
ダクテッドファンは、円筒状のシュラウドと呼ばれるダクトのなかにタービンブレード状のファンを持ち、これを回転させることによって推力を得ていますが、通常のプロペラとは違い、小径のダクテッドファンの場合には、効率の良い推力を得るためにはブレードをより高回転で回す必要があります。
一昔前には、カリカリにチューニングした高回転型レーシングエンジンとチューンドサイレンサーを組み合わせたダクテッドファンを搭載し、ハイニトロ燃料を使用して飛ばす機体も見られましたが、その推力は決して充分ではなく、飛ばせるのは超ベテランマニアのみで、魅力はあったが一般マニアにはなかなか手が出せるものではありませんでした。
しかし、現在では、ブラシレスモーターとリポバッテリーの急速な発達により、EDF(電動ダクテッドファン)が広く普及し、ブラシレスモーターのKV値を調整し、ファンとのマッチングも調整しやすくなったため、容易に30000回転以上もの高回転を得ることが可能となりました。そのため、ダクテッドファンの推力は急速に向上し、EPSやEPOなどの発泡素材を利用して軽く仕上がる機体との組み合わせによって、今ではEDF機はだれでも気軽に飛ばすことのできるジャンルとして確立しています。
EDF機の最大の魅力は、ジェット戦闘機などのスケール機を電動で手軽に楽しめることでしょう。最近のEDF機には発泡素材による軽量化によって、実機をそのままにスケールダウンしたような高いスケール感を持っている機体が多く、手軽にスケールジェット戦闘機の飛行を楽しむことができます。また、製作技術の向上によってより精度が高く、高性能な金属製EDFユニットも登場し、排気音も含め、タービンエンジン機に近いフライトをおこなうことも可能となっています。
⑨まとめ
今回はラジコン飛行機のさまざまなジャンルとその魅力について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
そのジャンルごとに飛ばし方、楽しみ方、魅力があり、同じラジコン飛行機でも、ぞれぞれに異なることがお分かり頂けたのではないでしょうか?
ぜひこれを機会にこれまでやってこなかったジャンルに挑戦してみてはいかがでしょうか?