電動飛行機を始める際に知っておきたい基礎知識5選!
ラジコン飛行機の世界に入門する人にとって最初の1機は非常に重要です。思い出深い機体となるだけでなく、その1機が入門者にとって最適な機体かどうかで、その後のこのホビーに対するモチベーションが大きく変わってきてしまうからです。
さて、最近ではラジコン飛行機は電動機が主流ですので、自然と入門者も電動機を飛ばすことが多くなってくるでしょう。そんな時に事前に知識として知っておきたいポイントがいくつかあります。決して難しいものではないですが、頭の中に入れておくことで何かの際に役立つ知識を今回はピックアップしてみました。ぜひ、チェックしてみてください!
POINT①:モーター&ESCの選び方
最近の電動キットにはモーターやESCが付いていることが多く、そういった場合は付属のものを使えばまず間違いないでしょう。しかし、機体のみのキットの場合、自分でモーターとESCを選ぶ必要があります。
まずモーターですが、最近のものはサイズ表記などがあまり統一されていなく、以前のように400クラスのような区別がしにくくなっています。よって、スペックからどの程度のパワーが出るモーターなのか判別するしかないありません。基本的に市販されているモーターはプロペラサイズ、静止推力、最大電流値が出ていますので、それと自分が搭載しようとしている機体の全備重量を比較して、同じかやや上の推力が出るようなモーターを選ぶのが良いでしょう。
また、ブラシレスモーターにはKV値が書かれており、1Vあたりの回転数(1KV)が分かるので、それによって高回転型かトルク型かも判別できます。アクロ機などはトルク型、EDF機のような機体は高回転型を搭載するのが良いでしょう。
一方、モーター出力を制御し、回転をコントロールするESCはモーターと使用する動力用バッテリーを考え、モーターに流れる電流値から許容容量のスペックを持つESCを選ぶようにします。例えばモーターに流れる最大電流が30Aとするならば、30AのESCでは危険なので、40Aや50Aといったものを選ぶようにする必要があります。容量がギリギリでは瞬間的に大電流が流れた際に危ないので、やや上のスペックを持つESCを選ぶと良いでしょう。
また、ESCには動力用バッテリーから受信機へ電源を供給できるBEC機能の付いたものと、機能がないものがます。ない場合は、別に受信機バッテリーを搭載しなくてはいけないので注意しましょう。
POINT②:リポバッテリーの取り扱い方
電動飛行機がここまで主流になったのは、ひとえにバッテリーがよくなったからと言っても過言ではありません。10数年前から、それまでのニッカドバッテリーやニッケル水素バッテリーに代わって登場したリチウムポリマーバッテリー(リポバッテリー)は、高容量でパンチ力(放電能力)があり、しかもこれまでのバッテリーと比べて軽量な仕上がりで、電動飛行機にはもってこいのバッテリーとなっており、空ものラジコンで使われるようになってくると価格も下がり、さまざまな種類のバッテリーがリリースされるようになりました。しかし、リポバッテリーはこのように非常に便利なバッテリーなのですが、その取り扱いを間違えると発火や爆発する危険があるので、取り扱いには充分注意する必要があります。
まず、リポバッテリーは衝撃そのものに弱いです。高いところから落としたり、表面に傷がつくような取り扱い方は絶対にしないようにしましょう。また、リポバッテリーは層ごとに分かれており、それが何層にも重なってひとつのバッテリーとなっています。これがセルと呼ばれるものですが、その構造を無理に引き剥がしたりは絶対しないようにしましょう。
また、リポバッテリーを保管する際は、耐火性のケースに入れて厳重に保管するようにします。その際、コネクター同士が接触してショートを起こさないようにしなければならなりません。さらに、保管時は放電機能の付いた充電器やディスチャージャーでストレージ電圧まで放電しておくことも重要です。次に使うからといって満充電で保管しておくのは絶対にやめましょう。
リポバッテリーを使って飛ばす際は、飛行前に必ず電圧を確認し、満充電になっているか確認します。また、飛行はバッテリーの容量がゼロになるまで使い切ってはいけません。これはリポバッテリーが壊れる原因となりますので、20~25%程度でフライトを終えるようにしましょう。あらかじめフライトして燃費を確認しておくか、テレメトリーセンサーでリアルタイムにバッテリー電圧を確認するようにしましょう。
最後に、リポバッテリーを使っているとバッテリーが膨らんできてしまうことがあります。これは内部で不具合が起こっており、バッテリーが壊れている証拠です。絶対に使わないようにしましょう。廃棄方法は、まずリポバッテリーを塩水に漬けて、泡が出なくなるまで出し切り、その後は各自治体が定めている廃棄方法に従って廃棄します。決して、勝手に廃棄したりしてはいけません。
POINT③:安全で快適なバッテリー充電
前項で述べたとおり、リポバッテリーは取り扱い方を間違えると発火や爆発の危険があるが、これらが最も起こる可能性があるのが充電時です。正確に統計をとったわけではないですが、ほとんどのリポバッテリーに関する事故は充電時のものが多く、充電をおこなう際は充分に注意したいところです。
さて、最近の充電器はいわゆるマルチタイプと呼ばれるものがほとんどです。これはリポバッテリーだけでなくニッケル水素やニッカドなどいろいろなバッテリーを充電できるものである。このタイプの充電器でリポバッテリーを充電する際は、バッテリータイプを間違えないようにすることが重要です。必ず「Li-Po」といったリポバッテリーを示す表示になっていることを確認してから充電を開始するようにしましょう。
次に充電する電流値に注意しましょう。リポバッテリーを充電する際は1C充電が基本です。1C(キャパシティ)充電とはバッテリーの放電能力と同じ電流で1時間で充電するということです。例えば1300mAhのリポバッテリーを充電するならば、充電電流は1.3Aに設定します。高い電流値で早く充電を済ませようとせず、必ず1C充電を守りましょう。
また、充電する際は何か不測の事態になった時に対応できるように、すぐに充電を止められるようにしておきます。ずっと注視して見る必要はないですが、充電したまま出かけたりしないようにし、異常時はすぐに充電をストップできるようにしておきましょう。
最後に、リポバッテリーの保管ですが、満充電での保管は危険です。最近の充電器は放電機能が付いていたり、放電専用のディスチャージャーと呼ばれるアイテムも発売されています。もし持っていない場合は充電が約60%程度になるように、一度満充電にしてから、モーターを空回しするなどして、放電してから保管しましょう。ストレージ放電機能が付いている充電器をひとつ用意しておくといいでしょう。
POINT④:電動飛行機の飛ばし方
電動飛行機を飛ばす際は、いくつか注意点があります。まず、エンジン機と異なり音がしないため、自分がこれから飛行機を飛ばすことを周囲に伝えてから離陸を開始しましょう。電動機は意外とモーターを回転させるまで、その機体が動くということが分からないものです。
また、飛行前は必ずバッテリーの充電を確認するようにしましょう。前回充電したから…という記憶を頼りに飛ばしてみるとまったく充電されておらず、すぐにパワーダウンで墜落してしまうような事象を編集部でも何度も見てきています。バッテリー残量のチェックは数秒で終わるものなので、必ず確認するようにしましょう。
また、電動飛行機ではモーター、ESC、バッテリーがかなり熱くなることがあります。特にカウリングで覆われた内部は風が当たらず、高温になってしまいがちです。飛行後は熱の具合をチェックして、必要ならば切り欠きなどを開けて、風を当てるなどして温度対策をしっかり施しましょう。
上空での飛行では、電動機はエンジン機と異なり、レスポンスが良いのでスロットルの反応がすぐに出てきます。一方、エンジン機はややレスポンスが遅れて出てきがちなので、直前にエンジン機を飛ばしていた場合は、スロットルレスポンスに注意した方が良いでしょう。
最後にエンジン機との違いでも記載しましたが、バッテリー残量が少なくなり、パワーが落ちてきたことを感じてたらすぐに降ろすようにしましょう。あまり無理をしてリポバッテリーをギリギリまで使ってしまうと、リポバッテリーが壊れる原因となります。
POINT⑤:電動飛行機のメンテナンス
最後に電動飛行機の飛行後のメンテナンスについて見ていきます。電動機はエンジン機と異なり、電動機は排気ガスによる汚れがなく、飛行後の拭き取りがなく、その点は非常に楽です。また、電動機はエンジンの振動がないため、メカや各部ビスの緩みが少なく、ある程度の時期にしっかりと見ておけば大きな問題になることはないでしょう。
一方、注意したいのはメカ類の熱対策です。モーターやESC、バッテリーが飛行後に異常に熱い場合は風を当てるなど熱対策を施すか、アンプなどはもうワンクラス上のものにするなど、余裕を持ったスペックで飛ばすようにしましょう。
また、飛行後はリポバッテリーの様子もしっかりとチェックしたい。リポバッテリーに負荷をかけると、リポバッテリーが膨らみ始めてしまいますが、多少の膨らみは目を瞑って使い続けていないでしょうか。しかし、バッテリーが膨らむということは何かしら不具合が発生しているということになります。その中で一番多い原因はリポバッテリーを空になるまで使い切ってしまうパターンです。ギリギリまで飛ばしたいのは分かりますが、早めに降ろして、飛行後は残量をチェックし、安全な飛行時間を計測して、プロポのタイマー機能を使って次回の飛行から管理するなどしましょう。なお、膨らんだリポバッテリーは、塩水に漬けてから各自治体で定められている方法で処分しましょう。
まとめ
今回は電動飛行機を飛ばす上で知っておきたい基礎知識5選をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?
手軽に楽しめる電動飛行機ですが、快適なフライトを楽しむためには、今回の5つのポイントをしっかりと理解して、安心安全な飛行を心がけて頂きたいと思います