ドローンの最新トレンドを探れ!第5回国際ドローン展レポート【後編】

さる4月17日~19日にかけて、千葉県にある幕張メッセで開催された第5回国際ドローン展レポートの後編をお届けします。前編に引き続き、展示された注目すべきドローンやサービス、テクノロジーを紹介し、産業用ドローンの最新トレンドを追いかけていきたいと思います。

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①石川エナジーリサーチブース

昨年はエンジンで発電してモーターを回転させるハイブリッドドローンを展示して注目を集めた石川エナジーリサーチ。今年はハイブリッドドローンだけでなく、測量用ドローンと農業向けのドローンを展示するなど、積極的な機体開発が見て取れます。

「ハイブリッドフライヤー」は、世界で初めて180分以上の長時間飛行に成功した機体とのこと。12kgのフルペイロードでも60分の飛行が可能な機体として注目を集めています。この長時間飛行の要因は、搭載された350cc無振動エンジンに拠るもの。自社開発の無振動エンジンで発電してモーターを回転させる仕組みで、振動による飛行阻害要因がなく、安定した長時間飛行を実現しています。さらに、モーターも高耐久性を誇る国産のものを採用し、軽量かつ剛性の高いオールマグネシウムのボディとするなど、各所に工夫が見られる機体となっています。用途としては、大規模農場での農薬散布や測量、検査、点検、物流などが想定されています。

次に測量用に開発された「ビルドフライヤー」を見ていきましょう。こちらは、5kgのペイロードで30分の飛行が可能な機体となっており、スキッドを水平に跳ね上げることができるので、カメラや測量機器への映り込みを防ぐことができ、広範囲の撮影を可能としています。アームは折りたたみ式で、軽量なオールマグネシウムボディを採用しているので持ち運びも容易。空撮や検査、航空測量といった場面で活躍してくれることでしょう。

そして農業分野においては「アグリフライヤー」を発表しています。こちらは機体上部の大きなキャップから農薬を簡単に交換でき、タンクをスムーズに洗浄できるような設計となっており、取り扱いがとても容易となっているだけでなく、流量センサーを搭載し、一定の噴霧量を管理することで農地全体にムラなく農薬を散布することが可能です。この機体もオールマグネシウムボディで軽量かつ剛性の高い仕上がりとなっており、イージーフォールディングアーム機構によって、簡単に持ち運べてすぐにセットアップすることができるようになっています。

②タイプエスブース

タイプエスブースには、上空気象観測用ドローン「R-SWM Version2」が展示されていました。このドローンは、任意の高度や緯度・経度における上空気象観測を可能とするドローンで、ACSL社製のドローンにボルトオンで搭載できる気象観測機器を積み込み、風向、風速、温度、湿度、気圧を計測することができます。地上では専用ソフトでリアルタイムに上空の気象を確認することができ、本体のバッテリーとは別の電源(角型乾電池)により連続気象観測をおこなうことができます。さらに、この機体には自動帰還機能や飛行前にパラシュート展開時および墜落時の降下ポイントシミュレート、そしてパラシュート(開発中/オプション)といった安全機能が用意されているのも見逃せません。主な用途としてはロケット打ち上げ時の事前調査や風力発電計画時の事前調査や事後検証、地上~接地逆転層の上空気象観測などを想定しているとのこと。これ以外にもまだまだ活用方法はありそうで、さまざまな可能性を考えさせてくれる1機ではないでしょうか。

③RIEGL JAPANKANAI DRONEAir Photo Serviceブース

RIEGL JAPAN、KANAI DRONEとAir Photo Serviceの3社で展開しているのが、レーザー測量用ドローン「Air Ray」です。RIEGL社製のレーザースキャナーを機体下部に搭載したこのドローンは、高低差のある複雑な地形や、樹木伐採前など写真測量では対応できない地形や場所の測量用に開発されたもので、樹木の隙間を通り地表面まで到達させ、伐採や除根前でも地山を計測することができ、測量によって得られた点群データによって高低差を正確に表現し、複雑な地形でも精度の高いデータを取得することが可能となっています。搭載されているRIEGL社製の「VUX-1 UAV」レーザースキャナーは、精度が10mmと飛行に高精度を誇り、i-construction全盛のこの時代に、まさに必要なドローンとなっています。

④まとめ

国際ドローン展レポートの前編と後編いかがでしたでしょうか。3月の「JapanDrone」と今回の「国際ドローン展」を見ると、現在の日本におけるドローントレンドが見えてくる気がします。「測量」「点検」「農業」「レスキュー」といったホットな領域における出展が非常に多く、さまざまなドローンやテクノロジー、サービスが出てくるようになりました。しかし、これまでも海外と比較すると何周も遅れているのが正直なところでしょう。現に、国際ドローン展というイベント名ながら、外国人の来場者や海外企業の出展は少なく、ドメスティックなイベントで終わってしまっているところは寂しい限りです。ドローンは世界中で注目されている産業だけに、もっと日本のドローンに注目が集まるようにしなくては、世界のドローンマーケットの中で、日本が取り残されてしまうことになるのではないでしょうか。日本のドローン産業がさらなる飛躍を迎えることを期待したいところです。

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