ドローンはなぜ自由自在に動けるのか?意外と知られていない姿勢制御の秘密

普段、ドローンを飛ばしているとあまり気にならないかもしれませんが、ドローンが浮上したり、前後左右に自由自在に移動できるのはなぜなのでしょうか。その光景が当たり前すぎて深く考えたこともないかもしれませんが、操縦者の意のままにドローンが動く仕組みを知らないで飛ばしている人も多いと思います。

そこで今回は原点に立ち戻り、ドローンはなぜ自由自在に動けるのか。ここを見ていきたいと思います。なお、今回は一般的なクワッドコプターを想定して話を進めていくことにします。

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①ドローンはなぜ浮くのか

ドローンには4つから8つのプロペラがアームの先に付いており、そのプロペラをモーターで回転させます。プロペラは良く見るとねじれが加えてあります。回転することで、プロペラの上面と下面で空気の流れる速度が変わります。速度が変わると下面の圧力が上面より高くなり、圧力差によって上向きの力=揚力が発生します。この揚力を使ってドローンは浮上します。

しかし、すべてのプロペラが同じ方向に回転してしまっては、プロペラが回転することで発生する反トルクによってドローンはグルグルと回転してしまい制御不能になってしまいます。そこで、ドローンでは相対するプロペラの回転方向を逆にすることで、反トルクを打ち消し、機体をまっすぐに浮上させることができるようにしています。

ドローンは固定ピッチの機体がほとんどですので、モーターの回転数を上げれば大きな揚力を得て機体は高く浮上し、回転数を落とせば機体は揚力を失って降下してきます。このモーターの回転数を制御しているのがESC(アンプ)と呼ばれるデバイスであり、モーターの回転数を変化させることでドローンの動きを制御しています。

②ドローンはなぜ移動できるのか

前項の最後で述べましたが、ドローンはモーターの回転数を変化させることで前後左右そして機体の向きを変えることができます。ここでは具体的にどのようにして機体を動かしているか見ていきたいと思います。

まず前後の移動です。ドローンが移動する時、機体の進行方向が下がって突っ込んでいくような光景をよく目にすると思います。これは、ドローンが移動する際に、進行方向のモーターの回転数を下げ、進行方向ではない側のモーターの回転数を上げるため、このような姿勢を取ることになります。これにより進行方向側と進行方向ではない側の間で揚力に差が生じ、この差によってドローンは移動することができます。

例えば、前へ進む時は進む側のモーターの回転数が下がり、逆側のモーターの回転数が上がります。機体は前傾姿勢になり前に進みます。いわゆるエレベーターのダウンの状態です。一方で後進する際は、機体は反ったような姿勢で後進してきます。いわゆるエレベーターのアップを引いた状態です。

同様に、左右への動きも見ていきましょう。右へ進む際、ドローンは右側のモーターの回転数を落とし、左側の回転数を上げます。機体は右傾しながら右へ進みます。いわゆるエルロンの右を打っている状態です。反対に左側のモーターの回転数を落とし、右側の回転数を上げれば、機体は左傾しながら左へ進みます。エルロンの左を打っている状態です。

では機体の向きを変える、いわゆるラダーの動きはどうなっているのでしょうか?例えば、機体を右側へ向かせたい時(ラダーの右を打つ)は、右回転しているプロペラのモーターの回転数を上げます。右回転のプロペラの回転数が左回転のプロペラの回転数より高くなると、機体は右を向きます。反対に、左回転のプロペラの回転数が右回転のプロペラの回転数より高くなると、機体は左を向きます。ラダーの左を打っている状態になります。

③フライトコントローラーによるアシスト

最近の中型〜大型のドローンはスティックから指を離すと機体はその場でホバリングをおこなってくれます。これはフライトコントローラーが、その場で機体をまっすぐにするように司令を出し、モーターの回転数をコントロールして、その位置に留まるようにしているからです。ホバリング中は決してすべてのモーターの回転数が一定になっているわけではありません。なぜならば、風の影響で機体が流されそうになるのをその場に留まれるようにコントロールしているからです。高性能なフライトコントローラーほど定点保持能力が高くなります。これは位置だけでなく、高度にも言えます。同じ高度を維持しようと機体はモーターの回転数をコントロールしています。最近では気圧センサーや下向きのセンサーによって常に一定の高度を保つことができるドローンも多く、操縦者にとっては非常に飛ばしやすい機体が多くなりました。

④ドローンとRCヘリの操縦の違い

一方、シングルローターのRCヘリはやはりローター(プロペラ)の回転で揚力を得ますが、機体のコントロール方法はまったく異なります。一部のトイヘリを除き、本格的なRCヘリコプターは可変ピッチを採用していますので、メインローターの回転数とは別に自由にメインローターのピッチ角(メインローターの傾き)を変化させることができます。メインローターの角度を変えることでプラスピッチならば上昇し、マイナスピッチならば降下します。つまり回転数を落とさなくても機体を降ろすことができるだけでなく、マイナスピッチを使って背面飛行をおこなうこともできます。

また、前後左右の移動も方法が異なります。RCヘリでは、メインマストに付いているスワッシュプレートがメインローターの角度を変化させることで機体を操縦します。また、機体の向きを変える役割はテールローターが担っています。テールローターはメインローターの反トルクを打ち消す役割を担っていますが、この回転数を変化させることでテールの位置を変える=機首の方向を変えることができます。

このように、同じ構造に見えるドローン(マルチコプター)とRCヘリ(シングルローター)でも、その機体操縦方法はまったく異なります。一般的にドローンはフライトコントローラーの影響もあり操縦がしやすく、RCヘリは難しいとされています。ドローンのフライトに慣れたら、操縦の楽しみそのものを味わえるRCヘリに挑戦してみるのもオススメです。

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