操縦者の手元を支える重要アイテム「プロポ」の基礎知識

ドローンを飛行させる上で、必ず必要になってくるアイテムというものがあります。機体以外ですと、すぐに思い浮かぶのはリポバッテリーと充電器でしょうか。さらに最近のドローンでは「スマートフォンとアプリ」という回答も来るかもしれません。

しかし、もうひとつ重要なアイテムがあります。それが送信機です。RCの世界では「プロポ」と呼ばれるこのアイテムは、操縦者の意思を機体に伝え、コントロールするという重要な役割を担っています。一方で、最近は前述したスマートフォンとアプリによる操縦も出てきており、プロポの役割というものに変化が出てきているのも事実です。今回はそんなプロポについて見ていきたいと思います。

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①プロポの基礎

ドローンだけでなく、RC飛行機やRヘリコプターなどを飛ばす際にも使われる送信機、いわゆる「プロポ」。この「プロポ」という名前の由来は正式名称である「プロポーショナルシステム」から来ています。このシステムの特徴は、自分が操作した量に比例して、機体の操縦をおこなうことができること。例えば前に行きたい時に前を大きく動かせば動かした分だけ前へ進み、小さく動かせばちょっとだけしか前に進まない、という制御を実現しています。これは当たり前のように感じるかもしれませんが、プロポーショナルシステムがないと、前後左右の動きがすべて「動く」か「止まる」しかなく、自由自在のフライトなど到底できないでしょう。RC飛行機やRCヘリの黎明期はこのシステムがなく、すべてボタンをカチカチと押しながら、一度押したら「左へ旋回」、2度押したら「右へ旋回」というような仕組みで飛ばしていたそうですから恐れ入るものです。

さて、送信機であるプロポと機体に搭載した受信機を結ぶのが電波です。現在、日本では総務省管轄のもと、決められた電波でドローンやRC飛行機、RCヘリを操縦することができます。そのほとんどは2.4GHz帯と呼ばれる電波を使っています。この電波帯は2000年代後半になって認可がおり、RC飛行機やRCヘリでも使えるようになった(当時、ドローンはまだありませんでした)電波で、それまでの最大の懸案事項だった電波の混信が、2.4GHz帯を使うようになってからはほとんどなくなるようになりました。

さて、プロポは電波を使って操縦者の意思を機体に伝えます。操作した量を機体にリアルタイムで伝えることで、ドローンならばその意思を受信機からフライトコントローラーに伝え、さらにESCに伝えることでモーターの回転数のコントロールをおこない、機体の制御をおこないます。

RC飛行機やRCヘリの場合は、受信機から各舵を操作するサーボへ信号が伝わります。サーボが操縦者の操作したとおりの分量を動かすことで、飛行機ならば各舵がその分量だけ動いて機体の方向を変え、RCヘリならばスワッシュプレートを傾けることでローターの角度を調整し、機体の制御をおこないます。

このように、プロポは操縦者の意思を素早く、そして確実に機体に伝えて制御する重要な役割を担っています。何よりも信頼性を問われるアイテムとして、ドローンを飛ばす上でなくてはならないアイテムといって良いでしょう。

②プロポの機能について

最近のプロポには非常に多くの機能が備わっています。これは、機体の性能向上に伴い、さまざまなフライトスタイルが出現したことで操縦者から求められる要望も多くなった証であるとも言えます。

一昔前のプロポを知っている人ならば画期的だったのは、やはりフライトコンディション機能でしょうか。飛行中に機体の設定を変えることで、違った特色を持った機体設定に変えることができます。その時のシチュエーションやおこなうフライトによって、もうひとつの設定をあらかじめ用意しておくことで、その場の状況に応じたベストな設定で飛ばすことができるのは、操縦者にとって非常にありがたい機能でした。今では当たり前の機能も、登場したのは1990年代半ばでした。

また、プロポには無数のスイッチがあります。このスイッチには自分で好きな機能を割り当てることができます。ドローンが活躍するようになって使われているのが、スイッチにカメラの操縦機能を割り当てるものです。シャッターはもちろん、チルトする機能もスイッチに割り当てておき、ツマミを回すことでカメラを徐々にチルトさせることができます。あらゆるフライトシーンに適応できるように考えられている最近のプロポは、このように後から出てきた飛ばし方にも柔軟に対応できるようになっているものが多くあります。

さらに、最近では機体の状況をプロポと機体に搭載されたセンサーが両方向で情報をやり取りすることで、リアルタイムに機体の状況を把握することができるようになりました。テレメトリーセンサーと呼ばれるセンサーを機体の受信機とつなげることで、高度や速度はもちろん、バッテリーの残量からモーターの回転数や発熱、さらにはGPSを搭載しての位置情報まで、さまざまな情報をプロポの画面に表示させることができるようになり、より安全なフライトができるようになりました。それまで、プロポから受信機へ一方通行のやり取りだったことを考えると大きな進歩であると言えるでしょう。

③今後のプロポについて

そんなプロポですが、最近ではDJIから空撮に特化したプロポが出るなど大きな変化の中にいます。ドローンの登場によって「機体を操縦する」というより「飛行を管理する」という面が大きくなっていることと、機体だけでなくカメラの登場で、カメラのオペレーションという面も出てきているからです。ドローンだけで言うと、スマートフォンにインストールしたアプリで飛ばすことができる機体も多く、細かい操縦を求めなければスマートフォンでの操縦で十分という人も多いでしょう。

一方で、精緻な操縦や細かい設定を求めるならば、やはりプロポはまだまだ飛行に欠かせないものであると言えます。わずかな指の動きを忠実に動きに変えてくれるプロポは特にプロの現場では欠かせないものでありますし、最近ではタブレットとプロポを併用することで、カメラからの映像を見ながら、手元のプロポで操縦するという光景が日常のものとなりました。

一方で、ドローンは今後ますますシステマチックに制御する(操縦ではない)ものになっていくことでしょう。飛行のほとんどがオートマティックになり、飛行全体を管理する機能や人材が求められてくることになります。また、電波も現在の2.4GHzではなくなる可能性があります。電波は到達する距離に限りがあります。遠隔地へ自動制御で飛ばすことが求められる場合、使うことができない可能性があります。そこで、最近では携帯電話の5G回線でドローンを飛ばす実験が多く行われています。こういったことが実現すると、プロポの形も大きく変わってくることでしょう。

とはいえ、RC飛行機やRCヘリ、そしてドローンレースを飛ばすにはまだまだプロポの力が必要です。操縦者の手元を支えるプロポの今後の進化に注目が集まります。

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