ドローン業界のトップランナー「DJI」の強さを追う

今やドローンを語る上で絶対外せない存在であるDJI。2005年設立のこの企業が、世界のドローンの7割以上のシェアを占めると言われる存在までになったのはなぜなのか?今回はこのあたりをDJIの歴史を辿ってみていきたいと思います。

DJIの強さ①:スピード

DJIが他社をしのぐシェアを獲得したポイントのひとつにスピードがあると言われます。矢継ぎ早に新製品を出すそのスピード感は他のドローンメーカーには真似できないもので、ユーザーを飽きさせない、絶妙のタイミングで新製品を発表してきます。また、発表から発売までも短く、ユーザーの熱が冷めないような間で、手元に製品を届けるのはさすがの一言。他社がDJIの製品にやっと追いついた頃には、既にDJIは次の新製品を用意しているようなことも多く、いつまでもその差は埋まらないことになります。同社は従業員の半分以上がエンジニアとされており、その開発スピードは凄まじいものがあります。このスピード感が世界の市場で受け入れられている大きな理由のひとつではないでしょうか。

DJIの強さ②:ブランディング力

DJIのドローンは、新しい製品を見ても瞬時にDJIのものと分かります。白を貴重としたパッケージデザインから、流線型の流れるような美しい機体デザインまで、DJIのドローンはオシャレでカッコいいというブランディングが完成されており、このメーカーの機体でスマートに空撮をすることが、ユーザーにとって非常に良いイメージとなっているのは間違いない。これらのDJIのブランディングのヒントとなるのがアメリカの世界的なメーカーであるアップル社ではないでしょうか。DJI創業者のフランク・ワンはアップル製品をとても愛用しているとされており、同社のような洗練されたブランディングを目指しているのは明らかです。「DJIの機体を飛ばしてみたい」と思わせるだけの魅力がDJIのプロダクトにはあるのです。世界のユーザーから常に支持を集めている理由のひとつは、DJIのブランディング戦略がうまくいっていることも大きな要因のひとつではないでしょうか。

DJIの強さ③:マーケティング力

DJIの新製品が出るたびに思うのが、「まさにここをこうして欲しかった!」という、ユーザーの要望が常に改善されて新製品に盛り込まれているところではないでしょうか。これは、現場の声をしっかりと聞くことで、ユーザーがどのようなものを求め、次の機体に導入して欲しいと思っているか、情報を的確に収集できている証拠になります。この抜群のマーケティング力やリサーチ力によって、次のマーケットがどこにあるか判別し、そこに的確なプロダクトを充てることで、DJIは小型機からプロユースの機体、そして産業用の機体まで、ありとあらゆる領域のシェアを押さえていくことができているのでしょう。これは、世界のドローンをリードしていく上で、非常に重要なことであり、逆にDJIの戦略が世界のドローン戦略となっていくことを示しているものではないでしょうか。

DJIの強さ④:ユーザーの囲いこみ

一度でもDJIの機体を使ったことがある人ならば分かると思いますが、DJIの機体は使ってみるとその勝手の良さもあって他のメーカーの機体には移れなくなってしまいます。さらに、使い勝手や性能だけでなく、DJIが提供するアプリ「DJI GO」でさまざまな機体を操縦することができるようになっている関係で、一度ゲットしたユーザーがDJIの製品から離れられなくなるような仕組みを構築しています。機体の性能自体は非常に高いので、使い勝手の良い周辺のアプリケーションさえ出してやれば、ユーザーは簡単にはスイッチングしない。一度ファンになってくれると長く自社の機体を愛用してくれることをDJIは知っているのです。

DJIの強さ⑤:機体性能の高さ

ここまで4つほどDJIの強さを挙げて来ましたが、なんといっても機体の性能そのものが非常に高いことが一番の大きな理由ではないでしょうか。いくら機体がカッコ良かったり、イメージが良いものであっても、機体の基本性能が低ければ何にもなりません。プロユースでもいけるような高性能なカメラやフライトモード、を非常に簡単におこなえるようになったのは、兎にも角にもDJIの機体性能が高いことにほかならないでしょう。強さの秘密を挙げるとすれば、そのものズバリ「良く飛ぶ」ということになります。

このように、DJIがシェアのほとんどを握るのは必然だったのかもしれない、と思うほど強みを活かした戦略がハマってきたDJI。今後もますますその開発スピードを加速させ、想像すらできないような、魅力的で世の中の役にたつような機体が次々と発表されていくに違いありません。