ここまで進化を果たした!最新ESCの機能紹介!

ドローンを飛ばしていると「ESC」という言葉を聞く機会があります。実際にワンパッケージの機体を操縦していると目で見る機会が少ないデバイスのひとつですが、実はドローンが飛行するためになくてはならないものであり、縁の下の力持ち的な存在で、ドローンの飛行を支えてくれている製品でもあります。

最近ではこのESCがさまざまな機能を持つようになり、その重要性はますます高まっています。そこで今回はこのESCの進化について見ていきたいと思います。

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①ESCの役割

ESCは「Electric Speed Controller」の略で、RC出身者には「アンプ」という名前でも親しまれているデバイスです。ESCの役割は簡単に言ってしまうとモーターの回転数の制御になります。つまりエンジン機には必要のないデバイスになります。

電動のドローンにはモーターが付いており、モーターが回転することでプロペラが回転し、それによって浮力を得て空へ上昇していきます。モーターの動力源は一般的にはリポバッテリーが多いのですが、このリポバッテリーとモーターの間に入っているのがESCとなります。

現在、ドローンに用いられているのはほぼブラシレスモーターとなっています。一方、ドローン用途以外ではまだブラシモーターも扱われており、この2種類のモーターに対応するため、ESCもブラシモーター用とブラシレスモーター用の2つが存在します。

ブラシモーター用はリポバッテリーの電圧をブラシモーターに流す時間と流さないようにする時間をコントロールする役割があります。これによって、モーターの回転数を制御し、機体のスピードコントロールや飛行の制御をおこないます。

一方で、ブラシレスモーターにはリポバッテリーの電圧でモーターの回転数をコントロールするのではなく、モーターに備わっている磁界を制御することでモーターの回転数をコントロールします。2つのESCの見分け方は簡単で、モーターとESCをつなぐ線が2本ならブラシモーター用、3本ならブラシレスモーター用となります。

主な役割としては上記のようなことが中心となりますが、他にもさまざまなセッティングを施したり、安全性に寄与するような機能を持っています。次の章では、ESCのさまざまな機能について紹介していきたいと思います。

②ESCの機能

ESCの役割として「モーターの回転数を制御する」という機能があることがご理解頂けたと思いますが、それ以外にもさまざまな機能を持っており、細かいセッティングを施すことができます。セッティングは送信機(プロポ)からおこなうタイプのものや、プログラミングカードを使って設定を施すもの、そしてアプリ経由で設定するものなどがあります。ドローンで用いられるようなESCはPCを使ってアプリ経由でおこなうものが多く、RCで使用されるものは、プロポでの設定かプログラミングカードでセッティングしていくものが多いようです。

一般的にESCに備わっている機能としては、まずは低電圧時の「カットオフ機能」があります。これは飛行を続けてリポバッテリーの電圧が低くなってきた際に、設定した電圧まで低下した瞬間にESCが自動で電圧をカットする機能です。低電圧で飛行を続けるとバッテリーの容量がスッカラカンになってしまい、リポバッテリーがダメージを受けてしまいます。また、受信機用に電力が供給できなくなってノーコンになってしまったり、パワーが落ちて十分な飛行ができなくなるなど、さまざまな危険が考えられます。それを防ぐための機能で、最近のESCにはほとんど備わっている機能のひとつになります。

次に「BEC出力」もESCの便利な機能のひとつとしてすっかりおなじみとなりました。このBEC出力とは、モーターを回す電力を少しわけて、受信機やサーボの電力として使うための電気回路を指します。このBEC出力が取り出せると、受信機やサーボに別にリポバッテリーを用意してそれぞれが独立して電力を供給するような面倒なことをしなくてもよく、配線もスッキリし、余計なバッテリーも不要ですので機体の軽量化にも貢献できます。ただし、高性能なサーボをたくさん搭載している場合、消費する電力も大きくなりますので、大きな電流を流せるスペックを持ったESCを選ぶようにしましょう。

「スタートパワー」の設定もESCならではの機能です。電動機は0か1かの世界ですので、電流が流れればモーターは回転し、流れなければモーターは回転しません。スロットルを上げて、モーターが回転を始める際、いきなり流れた電流の通りにモーターの回転数を上げるわけではなく、立ち上がりのパワーをゆっくりとしたものにしたい場合があります。例えば、RCヘリでモーターの先にギヤを使っている機体などでは、いきなり全開で回転するとギヤが欠けやすくなったりしますし、RCグライダーでスイッチを使ってモーターの回転を始めるような機体も、いきなり全開になってしまっては危険です。そういった場合に「スタートパワー」を「ソフト」にすることで、立ち上がりのパワーをソフトスタートにさせることができます。

進角という言葉はあまり聞き慣れないものだと思いますが、モーターの誘起電圧と巻線電流の位相を合わせることで、モーターのトルクを最大限引き出すことを「進角制御」と言います。この制御をESCで設定することができ、タイミング(進角)を合わせることで、モーターのパワーを引き出すことができます。プログラミングカードで変えることもあれば、モーターによっては外部に露出しているメモリの角度を手でズラして調整するものもあります。

「アクセラレーション」は、スロットルを開いていった時にモーターの反応速度をどうするか決める設定になります。一般的に大きなプロペラを回したい場合は反応を悪くします。反対にレスポンスを良くしたい場合は、この「アクセラレーション」の設定を「HIGH」といった表記のものにしたりします。

さらに、主なESCの機能として「ブレーキタイプ」の設定があります。これはスロットルを下げた時にモーターをすぐに停止させるか、もしくは徐々に停止させるかの設定になります。特にRC飛行機やモーターグライダーの場合、エアブレーキの効果を出したい場合があります。そういった際にこの「ブレーキタイプ」の設定で速く止めるか、徐々に止めるかの設定を施しておくと、エアブレーキの機能を思った通りに使うことができます。

最後に「ガバナー」設定です。これはスロットル操作をしても、そのスロットル位置に対応するモーターの回転数を維持するように制御する機能です。主にRCヘリの世界で用いられるもので、以前はプロポ側で制御していましたが、最近ではESCやジャイロ側で設定することが多くなってきました。

③まとめ

ESCの主な機能とその効果について紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?ESCはモーター制御の要であり、フライヤーのスロットルスティックワークを忠実にモーターに伝える重要な役割を担っているだけでなく、さまざまな機能を使うことで、より理想的な飛行をおこなうことができるようになります。こういった電子デバイスはそのテクノロジーの進化も速く、今後もいろいろな便利機能が付いてくることでしょう。ESCの今後の進化にぜひ注目してみてはいかがでしょうか?

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