災害大国日本を救え!レスキュードローン最前線

2011年3月の東日本大震災以降、日本は大きな自然災害に次々と襲われ、各地で多くの被害が出ています。国や地方自治体、民間においてもさまざまな防災対策を施していますが、いつ襲ってくるかわからない天災に対しての備えという点ではまだまだ不足している面も多いことでしょう。

そんな中、災害対策にドローンの活用を模索する動きが活発になってきています。特に山間部を多く持つ地方の自治体が積極的に民間企業と提携して、不測の事態に備えドローンを活用できるような体制を構築している話をよく聞くようになりました。

そこで今回はレスキュードローンの実態と実際の活用例について紹介していきたいと思います。

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①火災現場や水難救助で活躍するドローン

一概に「レスキュードローン」といってもさまざまな機体があります。目的や使用するシーンによって、いろいろな機能や特別な装備をもっており、最近ではより特化した機体が次々と開発されて来るようになりました。ここではその中からいくつか実例を紹介していきたいと思います。

HARWAR社の「D-HOPE」シリーズは、レスキューの中でも消防専用のドローンとして開発された機体です。機体の下部にさまざまな消防救助用モジュールを搭載することができ、火災現場に飛んでいき、状況に応じた救助活動をおこなうことができます。モジュールは、「消火剤投下モジュール」や「液体消火弾モジュール」といった消化用のものから、「救難ハシゴモジュール」「拡声器モジュール」といった現場で活躍しそうなアイテムを搭載していったり、「36倍ズームモジュール」や「赤外線探知画像モジュール」といったカメラまで用意されています。これらを駆使して、火災現場において、消化から孤立者救助までおこなうことができるのです。

火災現場で活躍しそうなレスキュードローンといえば、エンルートの「QC730FP」も注目を集めているドローンのひとつです。なんとこのドローンは300度の熱の中でも1分間耐えられる耐火性能を持っており、火災現場に進入していって近距離で空撮をおこなうことができます。この性能を使って、消防隊の消火活動支援や救助者の支援、そして消防車や救急車の救出ルートの確認といった役割や、上空から火元の確認や避難者の発見といった活躍が期待されます。

一方、水難救助の現場でもドローンの活用が模索されています。香川高等専門学校電子システム工学科と地元企業が共同で開発しているユニークな水難救助ドローンは、機体の四方に軽量で浮力に優れたペットボトル救命浮具を搭載しており、上空からカメラで要救助者を捜索し、発見したら要救助者を囲むように救命浮具を投下します。この浮具は高い耐久性も備えており、大人でも簡単に浮かせられるもので、二次災害のリスクを抑えつつ、迅速な救助を実現するものとして注目を集めています。

②夜間の救助活動で活躍するドローン

一方、災害救助において難しいのはいつ、どのタイミングで天災が発生するのかわからないことです。災害は日中だけでなく、夜間でも発生する可能性は当然あり、日中以上に早急な救助活動をおこなうことが必要となるのは想像に難くありません。

そんな中、夜間でも日中と同じように活躍できるドローンの開発が進められており、こちらも注目を集める存在となっています。具体的には高輝度のLEDライトをドローンに搭載し、上空から地上を照らしつつ、もうひとつのカメラで災害現場の状況を確認し、救助者の捜索や地上部隊の救助のルート捜索などの役割が期待されています。夜間の災害においては、いかに初動を早くするかが大切であり、いつでもドローンが出発できるような運用体制の構築が必要となる一方、これらは夜間の飛行を想定していますので、より卓越した操縦スキルや映像伝送のテクノロジーも必要となってきます。

こういった夜間でも活動できるドローンは、地方自治体が地元のドローン企業と提携する形で配備や運用体制を構築することが多くなってきており、特に山間部や狭隘部を抱える地方の市区町村でそういった動きが活発となっています。

③要救助者を運搬する画期的なドローン

3月に開催されたドローン専門の展示会「JapanDrone2019」において、大きな注目を集めたドローンが、PRODRONEが開発している対話型救助用パッセンジャードローン「SUKUU」です。この「SUKUU」は、ドローンの下に要救助者を乗せるスペースが用意されており、最大100kgのペイロードを誇り、飛行時間も15分を確保しているとのこと。FPVで外部から実際にオペレーターが操縦し、災害によって孤立してしまった要救助者のもとへ飛んでいき、ドローンに乗せた後は機体に搭載されているスピーカーやマイク、そしてタブレット端末を使ってコミュニケーションを取りながら、安全な場所まで運ぶことができます。

これまでのレスキュードローンがどちらかというと救助の補助的な役割だったのに比べて、この「SUKUU」は直接要救助者を安全な場所まで運ぶことができるという点で非常に画期的なものであり、レスキュードローンも次のステージに進んできたことを感じさせるプロダクトとなっています。

④まとめ

ここ数年で一気に注目を集める存在となったレスキュードローンを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。日本はここ数年、大地震や大雨による洪水などさまざまな自然災害に襲われており、その度に大きな被害が出ています。そういった被害を少しでも小さくすることができる可能性を持っているドローン。新しいテクノロジーとこれまでの災害で得てきた教訓やノウハウを組み合わせることで、次に来るであろう災害に常に備えておくことが大切です。また、こういった技術や運用のノウハウは日本だけでなく、海外においても活用することができるでしょう。

イザという時に備え、少しでも天災による被害を防ぐことができるレスキュードローンの、今後のさらなる進化に期待したいですね。

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