基礎から学ぶブラシレスモーターとESC
ラジコン飛行機において、その主流は電動機となっています。電動機はモーターとESC(アンプ)、そしてリポバッテリーの組み合わせで飛行機を飛ばすもので、以前の模型用エンジンから取って代わり、現在では多くのラジコン飛行機がモーターで飛行しています。
そんな電動飛行機において、ブラシレスモーターとESCは非常に重要なデバイスとなっています。国産だけでなく海外から安価で性能の良い製品が次々と入ってきており、さまさまなメーカーの製品がラインナップされるようになりました。
そこで今回はそんなブラシレスモーターとESCの基礎について紹介していきたいと思います。
ブラシレスモーターの仕組み
まずはブラシレスモーターの基礎を紹介していきたいと思います。直流モーターを回転させる原理は、シャフトに固定されたローターのコイルに流れる電流によって生じる磁力と、ケース本体に取り付けられた永久磁石が反発する力を利用して回転します。この際、回転を持続させるためには、シャフトの回転に応じてコイルに流れる電流の向きを変え、磁力の向きを連続して切り換えてやる必要があります。
古くから使用されているブラシモーターは、その切り換え作業を、ローターのコイルに接続されている整流子と、その整流子に電流を交互に流すブラシを接触させて、機械的に擦り合わせておこなっています。それに対し、ブラシレスモーターは、その名の通り、整流子やブラシなど機械的な接点をもたず、モーターの外部から電子回路を用いて電流方向を高速で切り換える方式のものです。
ブラシモーターの場合には、ブラシ接点の金属同士がつねに擦れ合うため、抵抗となることに加えブラシの摩耗もあり、使用時間に応じて性能も劣化します。また、接点が切り替わる瞬間に火花が発生するため、ノイズが生じるといった欠点があります。しかし、バッテリーを接続するだけで回転し、電圧を変化させることによって、簡単にスピードコントロールが出来るというメリットもあります。
それに対しブラシレスモーターでは、電気的に磁力を切り換えるため接点がなく、効率が非常に良く大きさの割にパワーがあることと、シャフトを支持するベリング以外に消耗する部分がないというメリットがあります。しかし、回転を制御するための専用のESC(アンプ)が必要となり、コストがかかるといったデメリットもあります。
しかし、ベリング以外に消耗する部分がなく、ほとんどメンテナンスフリーのため、初心者が取り扱うトレーナー機などにも適しており、現在ではブラシレスモーターもESCもリーズナブルで信頼性の高い製品が多く登場していることも考えると、総合的にメリットの大きなブラシレスモーターが電動機の主流となったことは必然だったのでしょう。
機体に合ったモーター選び
電動飛行機に搭載するモーターを選択する場合、エンジン機において、スタント機やスポーツ機、スケール機やアクロ機など、その種類によって異なる性質のエンジンを搭載するように、電動飛行機の場合でも、機体の種類に合った特性のモーターを選択することになります。
模型用エンジンの場合には、排気量の大きさによって決まる出力と、回転数によってトルクが変化するトルクカーブがあり、2ストロークや4ストロークなど、エンジンの型式によってその特性が違っていますが、同じ大きさと型式のエンジンであれば、ほぼ同程度の出力となります。
モーターの大きさについては、以前は280クラス、400クラス、540クラスというように、モーター自体の大きさで表されていたが、最近のブラシレスモーターの場合には、各メーカーによってその品番や表現もさまざまで、エンジンのクラスによって目安としての区分がされているものが多く、ほとんどのモーターがプロペラサイズや静止推力、最大電流値などの測定値データが公表されているので、それらを参考に、選定していくことになります。
ブラシレスモーターの出力は「ワット」、出力特性は「KV値」で表され、「1KV」とは、1Vあたりの回転数を表したもので、たとえば2000KVのモーターに7.4Vのバッテリーを使用した場合には、無負荷状態で2000×7.4 = 14800rpmの回転数が得られるということなります。
一般的には、KV値が高いほど高回転、低トルク型となり、電動ダクテッドファン機など、高回転でファンを回転させる機体に適しています。逆に、KV値の低いモーターほど低回転で高トルク型のモーターとなり、大径プロペラで大きな推力を必要とするアクロ機や、大型モーターグライダーを上昇させるための、大径折りたたみ式プロペラを回すのに適しています。
ESC(アンプ)について
電動飛行機のモーター出力を制御する、エンジン飛行機でいえばスロットルサーボの変わりとなるものが、ESCです。現在広く使用されているブラシレスモーター用ESCは、ブラシモーターのように、電圧を変化させて回転を変えているのではなく、モーターに流す電流を高い周波数でオンオフし、スロットルスティックの開度で流す時間を変化させることによって電流値を変化させ、スピードコントロールをおこなっています。
ブラシモーターには、プラスとマイナスの2本のリード線しかなく、ブラシレスモーターには3本のリード線が出ている違いがあります。この3本のリード線にESCから電流を交互に送ることによって、モーターを回転させています。
したがって、ESCには、ブラシモータ用とブラシレスモーター用の2種類があり、その見分け方は、モーターへと接続するリード線が2本のものがブラシモーター用で、3本でているものがブラシレスモーター用と区別すればよいでしょう。
ESCを選定する場合には、モーターと動力用バッテリーの関係から、モーターに流れる可能性のある最大電流値を予測して、充分な容量のアンプを撰ぶ必要があります。たとえば、モーターへ流れる電流値が最大50Aと予測される場合には、常時50A以上の電流許容容量をもつESCを選択し、少々過電流となっても余裕のある70~80A程度のものを使用しましょう。
エンジンであれば、大きすぎるプロペラを使用した場合など、回しきれずに回転が落ちるだけですが、電動機の場合には、負荷が掛かると、どこまでも大きな電流を流して回そうとするため、電流値がモーターやアンプの許容値を超えて焼損する恐れがあることを知っておきましょう。
また、ESCには、動力用バッテリーから受信機へと電源を供給するBEC機能付きのものと、その機能を持たないOPTタイプのものがあり、OPTタイプの場合には、別に受信機用電源が必要となるので、よく確認することが大切です。
まとめ
今回は電動飛行機の主役であるブラシレスモーターとESCについて紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
扱いやすくパワーもあり、さまさまな製品がリリースされているブラシレスモーターとESCは今後も電動飛行機の主流として発展していくことでしょう。そのためにも、まずはしっかりと基本的な知識を持って。安全確実に取り扱って頂ければと思います。