災害救助領域におけるドローンの可能性

2019年7月1日

ドローンがさまざまな領域でビジネスソリューションとして使われるようになってきた昨今、その中でも特に注目を集めているのが災害救助領域におけるドローンの活用です。多くの自然災害に悩まされている日本だけに、この分野における研究、開発は非常に積極的であり、国や地方自治体、民間を問わず多くの機関や企業が新しいテクノロジーを駆使した災害救助用のドローンを開発しています。

そこで今回は、そんな災害救助の最先端をいくドローンを紹介し、日本における災害救助領域のトレンドを見ていきたいと思います。

①災害救助におけるドローン活用のシーン

一度、大規模な自然災害が発生すると、さまざまな被害が発生します。そのような場合にドローンはどのような活躍が期待されているでしょうか。

まずは、ドローンの特徴である「人間が近づけない場所へ飛んでいける」という部分が大きなアドバンテージとなります。日本は山間部が多く、災害が発生すると土砂崩れなどで孤立地域が発生してしまったり、噴火が発生して人間が近づけなくなることがあります。そういった際にドローンを飛ばし、空から撮影することで、災害状況の把握や要救助者の捜索、救助ルートの探索などを素早くおこなうことができます。また、孤立地域に対して通信手段の提供や薬や食料、水などを提供し、救出までの間に二次災害が出ないような対策を施すこともできます。従来ですと、地上から地元の消防や自衛隊などが少しずつ近づいていたところ、安全な空から近づくことができるのは大きなメリットであり、まさにドローンの良いところを活かせるシーンといえるでしょう。

さらに、最近のドローンはペイロードが増えたことでさまざまな装備を積むことができるようになりました。例えば、大きなLEDライトや特殊なカメラを搭載して、夜間でも飛行することができるドローン。こういったドローンの登場により、夜間に災害が発生しても、初動を早くおこなうことで要救助者の捜索から救助をこれまでよりも素早くおこなえる可能性が高まるでしょう。従来は、日が昇るのを待って救助を開始していましたが、夜間飛行ができるドローンがあれば数時間早く状況の把握や要救助者の捜索がおこなえます。この数時間で救える命があると考えると、ドローンが担う役割の大きさが分かります。

他では、上空から広く様子を見ることができるという利点を活かし、水難救助用のドローンも多く開発されています。最近では、上空から空撮をおこなうだけでなく、着水して水の中を撮影して要救助者を探すことができるドローンも登場しています。海や川は、地上からの目線で見てもなかなか要救助者を発見しづらいのですが、上空から俯瞰してみることで、要救助者の早期発見につながりますし、要救助者に対して浮き輪を上空から投下するなど、さまざまな対策をおこなうことができます。周囲を海で囲まれた島国であり、山間部から流れ出る河川も多い日本において、水難救助のシーンでドローンが今後活躍していくことは間違いないでしょう。

一方、火災の現場でもドローンの活用が模索されています。300度の高熱にも1分間耐え、火の中の状況を撮影するドローンや、大きなペイロードを活かして水を投下したり、必要な装備を現場に持っていくドローンなど、火災現場でもドローンの存在感は日に日に高まっています。

近年、大きな自然災害に襲われている日本だけに、こういった災害救助用ドローンの需要は日に日に高くなっています。新しいテクノロジーを駆使し、さまざまな用途に特化した災害救助ドローンで、ひとりでも尊い命が救われることを願ってやみません。これからもこの領域で、災害救助に貢献できるドローンが多く登場してきて欲しいですね。