今こそ真剣に考えたい災害発生時のドローンの活用

記憶に新しい西日本を襲った豪雨被害。各地に大きな爪痕を残した今回の災害だけに留まらず、2011年の東日本大震災以来、日本各地で大地震や豪雨、降雪、噴火などの天災が相次いでいます。また、今後は南海トラフ巨大地震も30年間のうちに高い確率で起こると言われており、ますます防災への備えが大切となってきています。そこで今回は災害発生時のドローンの活用について考えていくことにしましょう。

①災害発生時にドローンができること

最初に、大災害が発生した際にドローンがどのような活躍が期待できるか考えてみましょう。まず思いつくのは、ドローンによる空撮をおこなっての災害状況の把握でしょう。例えば災害で道路が寸断されていても、空を飛ぶドローンならば災害現場まで急行し、その状況を上空から正確に把握できます。普段、どのような状態か撮影しておけば、災害前と後で状況を比較して、どこがどうなってしまったのか比較することもでき、それを元に救助対応をおこなうことができます。また、水難救助の場合、機体によっては着水して河川の中まで見ることができるドローンもあり、状況の把握という点では、ドローンを飛ばすことで大きなメリットがあるのではないでしょうか。

次に、災害で孤立してしまった地域へ、ドローンを使って物資の輸送をおこなうことも考えられます。医療用品や医薬品、水や食料、さらには連絡を取るための通信機器などを被災地域へ送ることで、孤立してしまっていても救助に向かうまで、物資の輸送をおこなうことができます。特に大災害が起こった際は通信手段がなくなる恐れがあり、トランシーバーや簡易的なWi-Fi設備などを送って設置することで、被災地の現状を把握することができるのではないでしょうか。

②ドローンが活躍するために必要な条件

まず、機体がきちんと整備されていること。そして、ドローンを扱うオペレーターをすぐに集めることができること。これが最低限の条件となります。災害はいつ来るかわかりません。いつでも出動できるように、普段から人も機体もきちんと準備をしておくことが大切となります。また、災害は夜間に起こることもあります。夜間飛行のスキルはもちろん、機体も夜間用のライトや赤外線カメラなど、夜間でも昼間と同じように飛行できる装備が必要となってきます。また、大切なのは災害発生時に、ドローンを救助に使う、ということを各地区の人間がしっかりと把握しておくことです。一刻を争う自体の時に、ドローンを使うかどうかの承認を取りに行ったり、被災地までドローンを飛ばしても、その地域の住民が不審に思って、的確な対応を取らなかったりするリスクもあります。ドローンはまだまだ一般の人にとっては馴染みの少ないものですので、そういったドローンは安全なもの、救助の助けをしてくれるもの、という認識を持ってもらうことが、初動のスムーズさにつながってくるのではないでしょうか。

③これからのドローンに期待すること

災害救助の観点から見た時に、ドローンのスペックとしてあると助かる、と思うものがいくつかあります。まず、大きなペイロードです。救援物資の輸送を考えると、さまざまな物資を送る必要があり、一度に多くの物資を輸送できるよう、なるべく大きなペイロードが欲しいところです。次に、何度も輸送したり、遠隔地へ飛行するための長い飛行時間も必要となってくるでしょう。災害発生時は電源も手に入りにくいかもしれませんので、余計に長時間飛行は必要な要素となってきます。また、プロペラの静音性も考えたいところです。災害が発生すると、問題になるのが取材するヘリコプターのローター音です。これによって、助けを求めている人の声が聞こえない、なんてことがよく話題になります。実機ほどではないですが、恐怖感を与えない意味でも、静音性の高い機体が必要でしょう。これらはテクノロジーの進化によって、どれも解決できそうですので、早く災害救助に適した新型のドローンが出てくるのを待ちたいところです。

このように、災害救助のシーンで活躍が期待されるドローン。大災害が起こる前にきちんと災害対策を練って、日本各地でドローンがひとりでも多くの人を救出できるような時代が来ることを願いたい。