厳冬期におけるリポバッテリー取り扱いの注意点

まだまだ寒い日々が続く中、ドローンを飛ばすのに最大の注意を払いたいのがリポバッテリーの取り扱い方です。暑い季節ならいざ知らず、寒い冬の時期にドローンを飛ばそうとするとリポバッテリーが活性化されず、さまざまな症状が出ることとなり、空撮の現場でオペレーターを泣かせることとなります。

そこで今回は厳冬期におけるリポバッテリーの取り扱い方について見ていきたいと思います。

①冷え切ったリポバッテリーの問題点

まず、寒い日に冷え切ったリポバッテリーを使うとどのようなことが起こるか確認していきたいと思います。多くのオペレーターはリポバッテリーを前日などに充電しておき、空撮の現場でドローンにセットして飛行を始めると思います。そのドローンをセットする際に触ったリポバッテリーがカチンカチンに冷え切っていたらどうなるでしょうか。

リポバッテリーは冷え切っているとバッテリー内部が活性化されず、本来の実力を発揮できないことになります。実力を発揮できないとは、具体的には本来あるはずのパワーが出なかったり、飛行時間が極端に短くなってしまったりします。実際に飛ばしてみると「なんかいつもよりパワーは出ないし、機体も元気が出ていないな…」と感じる時があるでしょう。また、スロットルが伝わるパワーやバッテリー残量表示が急にドロップするようになり、通常時の半分ほどの時間で機体を帰還させなくてはいけなくなった経験のある人もいるのではないでしょうか。これは、リポバッテリーが活性化されておらず、持っている実力をまったく発揮できない状態になっているからです。

このような状態で飛行させるのは非常に危険であり、飛行時間も短くなってしまっているのでオペレーション的にも難易度が上がってしまうことになるでしょう。それでは、どのようにしてこの問題を解決していくのが良いのでしょうか。

②リポバッテリーの活性化対策

まず、何よりも重要なのは、リポバッテリーを満充電にしておくことです。寒いとただでさえ、飛行時間が短くなりますので、100%充電で飛ばしましょう。

次に、厳冬期においてリポバッテリーは、飛ばす前に人肌に温めておく必要があります。一番わかりやすいのは、現場に向かう前に車のダッシュボードの上など、陽が当たる場所においておくことです。車のダッシュボードの上は意外なほど温まりやすく、現場に着くころには触れてもちょうどいい具合の人肌に仕上がっているはずです。そして、ポイントは飛行直前に機体にセットすること。いくら道中で温めておいても、現場でセットしてから、実際の撮影時間まで吹きさらしの外部に機体をおいておいては、すぐにバッテリーは冷え切ってしまうことでしょう。あくまで、人肌に温まった状態で機体にセットするのがポイントです。

他にも、保温の方法としては、リポバッテリーをリポバッグにカイロと一緒に入れておくという方法もあります。こうすることで、リポバッグの中で自然とバッテリーは温まり、現場に到着するころには、やはりいい具合の温度に温まっていることでしょう。カイロならば直接リポバッテリーを燃やすわけでもないですし、万が一に備え耐火性のリポバッグに入れておけば安心です。こういった方法でリポバッテリーの保温に務めることで、安全なフライトを心がけるのも、ドローンオペレーターに求められていることではないでしょうか。

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③リポバッテリーを保温するその他の方法

ドローン業界のガリバーであるDJIはこのリポバッテリーの保温についても、独自のテクノロジーを採用してきています。それは自己発熱バッテリーです。Mavic2 Enterpriseなどに採用されているリポバッテリーは、一定の条件下でバッテリーのボタンを長押しすると、バッテリーが自己発熱モードになり、リポバッテリーが自身を発熱させ活性化してくれます。これにより、本来持っている性能をフルに引き出せるようになります。

一方、市販品でも非常に便利なアイテムが発売されています。ハイテックから発売されている「バッテリーウォーマーD-01」は、USB電源で入れ物の内部を温めることができ、内部に入れたリポバッテリーの温度低下を防ぐことができます。屋内外や車内を問わず、USB電源があれば使うことができるので非常に便利なアイテムとなっており、素材自体は同社から発売されている「リポセーフティバッグ」と同じ素材を使用しているので耐火性も抜群。リポバッテリーのセーフティー保管や充電保護に使用できる使い勝手の良いアイテムとなっています。内部は2つに分かれており、DJI「PHANTOM」や「Mavic」シリーズのリポバッテリーを2つ格納できるようになっています。DJIのバッテリーに限らず、同じくらいのサイズのリポバッテリーなら格納できますので、ドローンだけでなく、電動のRCフライヤーやRCカーのドライバーはぜひ使ってみてもらいたい一品です。

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④まとめ

厳冬期におけるリポバッテリーの取り扱い方について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか? リポバッテリーが活性化しないと、パンチ力が出なかったり、飛行時間が短くなるだけでなく、電圧低下によるさまざまな症状が出てきます。安全な飛行をするためには、リポバッテリーを適切に管理・保温して、本来の実力をしっかりと発揮してくれるようにしなければなりません。

まだまだ寒い日々が続きますが、ドローンを飛ばす際はぜひリポバッテリーの保温と活性化をおこなって、安全な飛行を心がけるようにしてください。