ドローンを飛ばすなら知っておきたいリポバッテリーの基礎知識

多くのドローンが日本の空を飛ぶようになって久しい昨今。ドローンの発展とともに、その電源となっているバッテリーについても注目を浴びるようになりました。
現在、ドローンのほとんどで使用されているのがリチウムポリマーバッテリー(以下、リポバッテリー)ですが、このリポバッテリーは、ラジコン飛行機やラジコンヘリの世界では20年前ほどから使われ始めたもので、それ以前のニッケル水素バッテリーやニッカドバッテリーに変わって、一気に普及し、拡大するにつれリーズナブルで高性能なものが登場するようになり、大型機でもリポバッテリーを使った電動機として飛ばす時代が到来しました。

そんなリポバッテリーは、扱いやすく便利なバッテリーであると同時に、取り扱い方を間違えると発火の危険性があるため、正しい知識を持って使用しないと危険な状況に陥る可能性もあります。
そこで今回はリポバッテリーの安全な使い方と充電の仕方について紹介していきたいと思います。この先しばらく、リポバッテリーがドローンやラジコン飛行機、ヘリの動力源として活躍することは間違いなく、最初に正しい知識を覚えてしまうと便利なはずです。それでは特徴から見ていくことにしましょう。
①リポバッテリーの特徴は?

リポバッテリーはなぜラジコンやドローンの世界で重宝されるのでしょうか。ひとつは非常にパンチ力がある点バッテリーだからです。高い放電能力をもつリポバッテリーは、パワーが必要なドローンに最適で、最近は高容量なものが安価で手に入るようになり、取り扱いさえ間違えなければ非常に便利で使い勝手の良いバッテリーとして認知されるようになりました。
リポバッテリーは薄い層をいくつも組み合わせた構造となっており、その層の数によって、1セル、2セル・・・と呼んでいます。1セルは3.7Vですので、2セルで7.4V、3セルで11.1Vとなります。中型のドローンですと4セル〜6セルで飛ばすものが多く、手のひらサイズのトイドローンですと、1セルの100〜300mAhくらいの容量のリポバッテリーを使用することが多いです。
②リポバッテリー取り扱いの注意点

先ほど記載した通り、リポバッテリーはその使用を間違えると、バッテリー自体がお餅のように膨らんできてしまいます。これはリポバッテリーの中で不具合が起こっている証拠で、こうなってしまったら危険ですのでそのバッテリーは使用を中止しましょう。そのまま無理に使用していると、煙が出たり発火の危険もありますので、少しでも膨らみ始めたら、使用を即中止してください。
取り扱いで注意したいのは、手元の不注意によるバッテリーの落下です。なぜならば、リポバッテリーは衝撃にも弱いとされています。万が一、落として衝撃を与えたりしてしまうと、それだけで発火したり内部で不具合が起こってしまう可能性があります。また、バッテリーの周囲は柔らかい素材で包まれていますが、バッテリーを鋭利なもので刺したりすると、そこから煙が吹き出し、最終的には発火につながりますので絶対におこなわないようにしましょう。

日頃は、耐火性、防水性のある入れ物に入れて、直射日光が当たらない涼しい場所で保管するようにします。さらに、保管時にリポバッテリーのコネクター同士が接触してショートしないように、コネクターには必ずキャップを被せておくようにします。また、防水に関しては内側にパッキンなどでしっかりと防水加工された専用のケースを使用すると安心です。
③リポバッテリーの充電と放電
リポバッテリーは必ず専用の充電器で充電するようにします。最近の充電器はリポバッテリー以外にもニッケル水素バッテリーやニッカドバッテリー、リチウムイオンバッテリーなどさざまなバッテリーを充電することができる、いわゆるマルチタイプの充電器の場合、充電時は必ず「リポバッテリーモード」を選択してから充電するようにします。

充電時はリポバッテリーの事故が起きやすいタイミングです。充電をしたまま外出などは絶対にしないようにしましょう。ずっと凝視していなくていいのですが、万が一充電中にリポバッテリーに異常が発生した時は、すぐに充電を中止できるように待機しておきましょう。
また、充電を早く終わらせたい気持ちは分かりますが、急速充電はせず、充電時は必ず1C充電でおこなうようにします。急速充電は非常に危険で、リポバッテリーにも負担がかかります。1C充電とは、充電するリポバッテリーが2200mAhの場合、2.2Aの電流で充電することです。多少時間はかかっても、安全に充電をおこなうことが大切です。

さらに、リポバッテリーの保管する際の電圧も注意しましょう。よく次回のフライトに備えて満充電のまま保管する人がいますが非常に危険です。必ず充電器のストレージモードで充放電し、容量を60%程度にした上で保管するのがベストです。安全に保管するためにも、必ず放電をおこなって適切な電圧で保管するようにしましょう。
ちなみに、リポバッテリーが膨らむ理由のひとつに、バッテリーの容量を使いすぎて、スッカラカンになった状態でフライトを止める人がいます。しかし、これはリポバッテリーを壊す原因となりますので、必ず残量を20〜25%程度残してフライトを終了し、最後まで使い切ることのないようにするのが大切です。バッテリーの残量は、最近はドローンを操縦するアプリに表示されるものが多いですが、表示されない場合は最初に1フライトしてどのくらいの時間でどのくらい消費するか測定し、あとはフライト時間から割り出しておおよその時間で機体を降ろすようにしましょう。
④リポバッテリーの破棄について

さて、膨らんでしまって使えなくなったリポバッテリーはどのように破棄すればいいでしょうか?まずは塩水に浸けてリポバッテリーから泡が出なくなるまで放っておきます。次に泡が出なくなったら、各自治体の規定に従ってリポバッテリーを破棄します。詳細はお住まいの自治体に直接聞いてみるのが良いでしょう。決して勝手に燃えないゴミなどに出してしまってはいけません。また、最近ではリポバッテリーの廃棄サービスもありますので、そういった民間のサービスを利用するのもオススメです。
⑤まとめ
今回はリポバッテリーについて紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。リポバッテリーはやや取り扱いが難しいところもありますが、現在のところドローンを飛ばすのに一番ベストな選択肢としていろいろな期待に使われているのも事実です。今回紹介した点を覚えて頂き、安全に取り扱いすることで、安全で快適なドローンライフが満喫できるはずです。


















