いま注目を集めるドローンを活用した災害対策
近年、日本は多くの自然災害に襲われています。地震、噴火、豪雨など各地に被害をもたらしており、その一つひとつの規模も以前より大きくなり、甚大な被害を及ぼしているものも多くあります。ここ最近でも各地で地震が相次ぐなど、いつ来るかわからない自然災害への危機意識は高まるばかりです。そんな中、ドローンを活用した災害対策について、年々その注目が高くなっています。テクノロジーの進化とともに多くの役割を担うことができるようになってきたドローン。そんなドローンを使った災害対策について紹介していきたいと思います。
①災害対策としてドローンが注目される理由
災害対策にドローンがなぜ注目されているのでしょうか?それはなんと言っても「人間が近づけないところへ飛んでいくことができる」という点に尽きます。ドローンの最大のメリットであるこの点は、災害が発生した際に大きなアドバンテージとなります。
土砂崩れや雪崩、山火事、噴火など、ひとたび自然災害が発生すると、一瞬にしてその周辺は危険な状況に変化します。そういった場所の状況を、上空から俯瞰した形で確認し、映像をリアルタイムで見ることができるのはドローンならではのメリットです。
しかも、ドローンを操縦する人間側は安全な場所に控えていることができ、以前のように実機の飛行機やヘリを飛ばして危険な場所に近づく必要はありません。また、実機を使うより時間とコスト面で大きな削減が期待できます。このような理由で、災害対策にドローンが大きな力を発揮すると考えられています。
②災害発生時のドローンの活用方法
いつ来るか分からない自然災害ですが、実際に災害が発生した際に、ドローンをどのように使っていくのでしょうか。
まずは、土砂崩れや河川の氾濫など、災害が起こった場所そのものを上空から空撮することで、災害の規模や遭難者の有無、2次災害の危険性などを確認することができます。普段から空撮しておくことで、そのエリアのビフォアアフターを見ることができれば、さらに状況を分析することができるでしょう。前述した通り、ドローンならば2次災害に巻き込まれることもなく、上空から安全に状況の把握をおこなうことができます。
また、土砂崩れなどで道が寸断され、孤立した地域が出てしまった場合、ドローンを飛ばすことでそのエリアの様子を確認できるだけでなく、必要に応じて通信機器や医薬品、食料などを配送することが可能です。土砂崩れの場合、道路の復旧には数時間から数日かかる場合もありますので、初動の段階でドローンによってさまざまな物品を送ることができるのは、孤立してしまった被災者からすると心強いはずです。
一方、山火事や噴火の場合にもドローンはその力を発揮してくれるはずです。ドローンには一般的な可視光のカメラの他にサーモカメラを搭載できる機体があります。これで火元を確認したり、山の中に取り残された人がいないかどうか確認することができます。ただ、噴火の場合、火山灰がドローンのモーターや機体内部に入ってしまうことで故障の原因になった事例もあり、密閉型のモーターなど専用の装備を施したドローンが必要となる場合も想定されます。
さらに、津波や洪水、鉄砲水が発生した際の水難事故についてもドローンはその力を発揮します。水難救助の場合、地上から見ているのではなかなか要救助者を発見することはできません。沈んでいる場合は分かりませんし、水の上に顔を出していても地上の目線では発見しずらいものがあります。しかし、ドローンの場合、上空から広く俯瞰した目線で見ることができます。また、浮き輪を持って行き、要救助者に向かって投下する実験などもおこなわれているほか、水面に着水してカメラで水中を撮影することができるドローンも開発されています。こちらも機体が完全防水である必要があるなど、特殊な装備が必要ですが、近年水難事故が多発していることもあり、この分野でもドローンに期待が寄せられているのは間違いありません。
③まとめ
このように幅広いシーンで活躍が期待されているドローン。「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉もありますが、自然災害に備えてドローンを配備しておくことは、これからの災害対策としては当たり前のことになっていくのではないでしょうか。
後は、災害発生時に有用なツールであるドローンを飛ばすことができる運用体制になっているかが重要です。地方自治体では、地元のドローン関連企業と提携したり、職員自らがドローンの操縦をマスターして、自然災害に備えているところもあります。今後も災害対策において、ますますドローンが活用されていくのではないでしょうか。