日本最大級のドローン専門展示会「JapanDrone 2019」レポート【後編】

さる3月13日~15日にかけて、千葉県の幕張メッセにて国内では最大規模のドローン専門の展示会「JapanDrone2019」が開催されました。今回も見どころたくさんのこの展示会のレポート後編をお届けしたいと思います。個性的なドローンや新しい領域へ踏み込んだドローンまで、さまざまなドローンを早速紹介していきたいと思います。

①PRODRONEブース

国産のドローンを開発しているPRODRONEブースには、まったく新しいコンセプトのドローンや、最新のテクノロジーを駆使した新型機が展示され、多くの来場者の注目を集めていました。

中でも最も目立ったのは中央に配置された真紅のドローン「SUKUU」です。この対話型救助用パッセンジャードローンと名付けられた機体は、さまざまなシチュエーションで取り残された救助者を救うためのドローン。パイロットが操縦し、機体のカメラから救助作業をおこない、さらに救助者を乗せてからも装備されているタブレットで会話しながら安全な場所まで運ぶことを想定しているとのことです。

また、「PD6B-TypeII」は、幅広い用途で使用可能な大型の6枚機。今回展示されていたのは、レーザー測量機を搭載したモデルで、約70,000m2の地形測量をオートパイロットで飛行し、約6分間で高精度な測量を完了させたとのこと。高い安定性と効率性が売りの1機となっています。

また、機体の周囲をプロペラガードで覆った「PD4-FG1」も展示。こちらは屋内での運用を想定した機体で、屋内物流や屋内点検に最適な高ペイロード機として注目を集めていました。

さらに、PRODRONEではガソリンエンジンを搭載した小型農薬散布機も開発。「PDH-AG1」は、バッテリーではカバーできない広い圃場で活躍できるシングルローターのガソリンエンジン機となっており、燃費が良く始動性の高いガソリンエンジンの特徴を活かした機体として参考展示されていました。

②三菱重工業ブース

三菱重工業は、PRODRONEと共同開発をおこなっている監視用シングルローター機を展示していました。この機体は長距離飛行・長時間運用が可能なガソリンエンジン機で、最高速度は120km/h、最大飛行時間は2時間超というスペックを誇ります。三菱重工業では、沿岸部の監視をおこなうために、各種センサーを搭載した空中、水中、地上の自立型無人機をネットワーク化して運用するシステムの立ち上げを目指しており、その空中を担う機体として今後の展開が楽しみな1機です。

③Maxellブース

現在のドローンはそのほとんどがリポバッテリーで稼働しており、産業用としてドローンを活用する場合、短い飛行時間が運用面でいくつかの制約をうける部分があるのは正直なところです。リポバッテリーの進化は日々進んでおりますが、ドローンがさらに活躍するためにはこの分野の進化が欠かせないところです。

バッテリーで有名なマクセルブースには今回の展示会の中で最も多い機体の展示がされていました。どの機体もマクセルのテクノロジーを使ったものとなっており、さまざまな領域で同社の技術が使われていることがわかります。今回はそんな中からいくつかピックアップしてお届けしたいと思います。

MBP JAPAN製の「楽ボー」は農薬散布をおこなう電動のラジコンボートです。電動なので静かでメンテナンス性も良く、免許や飛行申請なしでも農薬散布ができます。また、電動ですのでバックも簡単で旋回性も高く狭い圃場でも取り回しが非常に容易とのことです。

センシンロボティクスとNTTドコモ、仙台市が開発しているのが津波避難広報ドローンです。地震災害のJアラート発報で自動的に離陸し、高出力スピーカーで津波からの避難を呼びかけます。また、機体に搭載したカメラで被災地の状況を遠隔から把握するなど、2011年の東日本大震災の教訓を活かした仕様となっています。

シナジーテック社性の「DL250」は、夜間の広範囲捜索を実現した夜間災害支援用ドローンです。非常に高輝度のLEDライトを搭載し、夜間時の災害救助を支援してくれます。バッテリーの交換もスピーディーにおこなうことができ、災害現場ですぐに活躍できる仕様となっています。

香川高等専門学校が開発しているのが水難救助ドローンです。機体の四方に搭載されているのは超軽量のペットボトル救命浮具でこれを運搬して要救助者を囲むように投下して迅速な救助を実現します。

同じく香川高等専門学校が開発しているのが送電線点検ロボットです。送電線の上を走行しながらが進むこのロボットは、ドローンのプロペラで浮上し絶縁棒で誘導し送電線に装着して点検をおこなうため、送電を停止せず作業ができるというメリットがあります。

④TOKO UAVブース

東光鉄工UAV事業部(TOKO UAV)ブースでは全天候型レスキュードローン「TSV-RQ1」を展示していました。この機体はIPX5の防水機能を持ち、耐風性能は秒速15m。遭難者を捜索するためのサーチライトや赤外線カメラ、スピーカーの搭載も可能で、さらに遭難者への物資を供給するリリースシステムも搭載しています。災害の多い日本において、災害救助のためのドローンの有用性は早くから認識されており、こういったレスキュー用ドローンの開発はこれからもさらに加速していくのではないでしょうか。

⑤TERRA LABOブース

会場を入るとまず目に入ってきたのがTERRA LABOブースの翼長4000mmある大型無人航空機です。宇宙航空システムを開発するベンチャー企業である同社は、この大型機を使って2018年8月に自動飛行試験100kmを達成したとのこと。衛星通信を活用した長距離無人航空機の実用化に向けて今後の動きから目が離せない企業のひとつではないでしょうか。

⑥エンルートブース

さまざまな機体の開発をおこなっているエンルートのブースには、3機の機体が展示されていましたが、やはり注目は世界で初めて火災現場の進入と近距離空撮を可能にした300度耐火ドローン「QC730FP」でしょう。耐火性のボディーとフレームを採用し、300度の熱に1分間耐えられる耐火性能を確保。はしご車が入ることができない現場や、消防隊の活動支援、救急車の救出ルートの確認などでも活躍が期待されます。これまでの防災用途のドローンとはまた一線を画したアイデアのドローンだけに、今後の活躍が期待されます。

⑦まとめ

2回にわけてご紹介した「JapanDrone2019」レポートいかがでしたでしょうか。毎回その規模を大きく拡大しているJapanDrone。特に今年はさまざまな領域で、より具体的なソリューションの提案が増えたことで見応えのあるものとなりました。来年はどんな機体やサービスが出てくるのか、今から楽しみですね。