2019年の新しいトレンドは!?ドローン業界の展望を予測する!

2018年はドローン業界において産業用ドローンの活躍が目立った1年でした。明けて2019年、ますますドローンを活用した領域が広がると思われる中、特にどのような部分に注目すればいいのか。分野別に紹介していきたいと思います。

①ドローンを使った物流分野の今後

経済産業省の「空の産業革命に向けたロードマップ2018」によると、2019年は都市部における荷物配送の実証実験がおこなわれることになっています。これまで、荷物配送の実証実験は山間部や人口の少ない地域でのみおこなわれてきましたが、いよいよ都市部で実証実験がおこなわれる段階となりました。国交省でも2018年に安全を担保した上での目視外飛行による実証実験を許可するようになっており、物流に関しては2019年はこれまで以上に実験が進み、そこで出た課題をひとつずつ潰していきながら、実用化に向けてアクセルが踏まれることになるでしょう。

そのためには、都市部での荷物配送を念頭に置いた運用指針の拡充や見直しが必要となるだけでなく、機体そのものの性能向上(飛行可能な距離、時間、最大積載量、耐候性など)、物流用ドローンポートの整備、UTMS等の実装などが必要とされてきます。実際に都市部でドローンが物を運ぶのは先に思えますが、着実に実現に向けて近づく1年になることでしょう。

②インフラの点検

高速道路の橋桁や送電線などのインフラ点検は、2018年にさらに一歩進んだ感のある領域です。さまざまな機種が世に発表され、点検に特化した機体による効率的な点検ができる段階まで進んできました。

2019年はさらに目視外飛行による点検へとステップを踏んでいくことになりそうです。そのためには、遠隔での位置制御テクノロジーの信頼性確保が必須となります。屋外でのインフラ点検は、急な天候の変化などで、強風や荒天といった環境下でおこなわれる場面も出てくることでしょう。そういった際に、遠隔地になる機体を安全にコントロールし点検をおこなうだけでなく、自分たちの手元まで確実に戻してくる技術が必要となります。

日本の地方自治体によっては自治体内のインフラ点検まで手が回らないところも多くありますが、ドローンを活用することで効率的でリソースもかからない理想的な点検をおこなうことができます。インフラの点検領域も、ドローン業界においてますます目が離せないところと言えます。

③ドローンを使った測量

国交省の推進する「i-Construction」によって、測量分野におけるドローンのニーズは日に日に高まっています。ドローンで測量したデータをICT建機に入れて正確に土木施工をおこない、どのくらいの土量がなくなったか、正確に計算できるのは、従来のやり方と比較して非常に効率的なだけでなく、土木施工のイメージを大きく変える出来事であるといえます。効率的ということはコストもそれだけ抑えられるということで、その分、企業は人件費や建機の購入に充てたり、次の投資のタイミングまで体力を蓄えることができます。

2019年もi-Constructionにおけるドローンの存在感はますます高まることは間違いなく、専用の機体の開発も進み、次々と世に送られてくることでしょう。また、測量の技術もレーザーを使った測量やRTK技術を搭載した機体による高精度な測量が簡単におこなえるようになるなど、テクノロジーの進化とともに、ドローンが測量分野において活躍できるシーンがどんどん広がっていくことになると予測されます。

④農業分野におけるドローン

ドローンを使った農薬散布が日本のあちこちで見られるようになった2018年ですが、2019年もこの流れは続くのではないでしょうか。2018年秋には、無人ヘリを使った農薬散布の分野におけるトップリーダー的存在だったヤマハが、ドローンタイプの機体を新しく開発するなど、その流れはますます加速していくことでしょう。

そんな中、農業分野においては、作物の生育状況をセンシング技術を使って判定し、そのデータを使った管理をおこなう精密農業分野においてドローンが活躍するシーンが多くなりそうです。ドローンに専用のセンシングカメラを搭載することで、作物の生育状況を細かく管理し、そのデータを使って追肥を必要な部分だけにおこなったり、的確な処置を施すことで、作物の生育状況を均等にし、質の高い作物をひとつの圃場からなるべく多く出すことで、効率的に質を保った作物を作ることができます。

このためには圃場の上をドローンを飛ばし、作物の生育状況をデータ化する必要があり、そのシーンにおいてドローンは重要な役割を果たすことになります。今後、農業の担い手が少なくなる中、日本の農業は大区画化が進みます。そういった中、ドローンのような新しいツールを活用することで、圃場の状況を見える化し、的確な処置を施して質を保ちながら収穫量を上げていくことは、今後の農業を考えた上で非常に有効なことなのではないでしょうか。

⑤災害救助とドローン

2018年は何かと自然災害の多かった年でした。そういった背景もあり、2018年はドローンを使った災害対応に注目が集まった年でしたが、2019年はさらに踏み込んだ活用の仕方が始まるのはではないかと予測されています。

これまで、ドローンを使った災害救助はどちらかというと被災地域の調査や情報の集約、提供が主な役割でした。しかし、今後は実際に災害対応活動の支援をおこなう段階まで進むことでしょう。具体的には救助だけでなく、避難誘導や消火活動などが挙げられ、いずれもその役割に特化した機能を持つドローンによって、レスキューがおこなわれることでしょう。

さらに、大規模な災害においては複数機のドローンが一斉に救助をおこなうようなシーンも想定されます。さらにそこに救助のヘリコプターや報道の機体が来るなどすると、ドローンも含めて複数の機体が入り乱れて飛ぶことになります。そういった際に機体同士の接触による二次災害の発生を防ぐためにも、UTMのような仕組みの早期構築が必要になってくるものと思われます。

⑥さいごに

このように、2019年はさらに一歩踏み込んだ形でのドローンの活用が、各領域において模索されています。その役割も補助的なものから、ドローンが主役となるものに変化してきており、ドローンの存在感はますます高まっていくことでしょう。2019年、ドローンがビジネス領域においてどのような活躍をしていくか、今から目が離せません。